城近くの街
一日テントで暮らして次の日に外に出ると霧が晴れていた。
「あんなに濃い霧だったのに…!もう晴れてる」
「なんだか不思議な体験でしたね。すぐに行きましょう。また霧が出る前に」
「そうだな。ずっとテントにいたせいで体が固まってるみたいだ」
アーテルスは背伸びすると骨が鳴る音がする。全員は出発の準備をして馬を走らせる。すると街が見えてくる。
「街だよ!師匠!街が見えてきたよ!」
エルピオンははしゃぐようにシュンサクに言う。
「わかっている。あれは城下町のようだな」
「城下町?こんなところにか?」
「ああ、気をつけなよ。あそこは魔族が多いからな」
「了解!」
エルピオン達は馬を早く走らせて街の中に入り込む。
◆❖◇◇❖◆
街の中に入り、馬を宿に預けてエルピオン達は中を歩き回る。
「やはりここは城下町だな」
「城下町かよ。通りで城が近いのか」
エルスが顔を上げると大きな城が見える。
「あそこにマヌスが…!」
「いや、あそこにはいないだろう。前にもあの城に入ったが中には人がおらず、死体が転がっていたよ」
シュンサクは流すように言う。
「入ったことあるのですね」
「意外とどこでも行けるからね」
「それより、なんか騒がしくないか?」
「もしかして私たちが原因?」
エルピオンは辺りを見渡すが彼らがみているものはエルピオン達では無い。
「どうやら私たちではなさそうです。少し話を聞いてきます」
ハルルカは小走りでおば様たちの間に入る。
「こんにちは」
「こんにちは、お嬢ちゃんたちこの辺に何しに来たの?」
「私たち、少し探し人をしていまして…この辺で何かあったんですか?」
「何かって…ただ単に海人たちのことだよ」
「海人?なんですかそれは?」
「水中に暮らしてる魚人族のことさ」
ハルルカ達に口を挟むようにエルスが言う。
「その海人たちのことについてとはどういうことでしょうか?」
「なんだか知らないけど、この近くにあるバー『ヘンデル』に海人たちの王子が変わり果てた姿でやって来たのよ。それにいつも沢山ある湖の水が無くなっちゃったんのよ」
一人のおばさんがそう言うと、エルスは少し考える。
「ではその海人の王子に会いに行ってきますよ」
「たぶん話すのは無理だと思うよ。あの子未だに意識を戻さないからね」
「そうですか…あの子なら自分たちが探している人の話が聞けると思ったのですが…残念です」
エルスとハルルカはそのおばさん達にお礼を言って、バー『ヘンデル』に向かうことにする。
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