いざ出撃!
とても暖かいこの地域。誰もが笑顔を生む集落と知られている。
「シュン、どうしたの?ボーッと立ってて」
自分は彼女を見る。ああ、俺の妻だ。彼女は俺に笑いかける。
「サキ、いやなんでもないよ。ここは本当に豊かな場所だ」
「うふふ、おかしな人。ほら行きましょう」
サキは俺の手を引く。ああ、このまま永遠に続くはずだと思っていた。
「サキ…サキ…!なぜ、なんでこんなことにッ!」
泣き叫ぶ俺。集落は火の海になっている。逃げ惑う彼らを襲うのは『人間』という生き物。奴らはなんの躊躇もなく仲間を殺していく。
「シュン、貴方だけでも…逃げて…!」
瓦礫の下敷きにされたサキが言う。
「バカを言うな!必ず助ける!」
俺がそう言うと、背中から激痛が走る。見ると、銛が刺さっており、胸から血が流れていた。鋭い痛みで呼吸がままならない。
そして何本も刺さる。そして人間の口から出た言葉。今でも忘れなれない。『化け物』という言葉が。
化け物?それは貴様らではないか。俺たちの幸せを踏みにじった魔物め!
俺は血反吐を吐いて倒れる。近くでサキの叫び声が聞こえる。ああ、もう一度甦れるなら…奴らに復讐してやるッ!
俺は胸元から溢れる力に歓喜を覚える。俺は化け物たちを睨みつける。
ああ、復讐してやる!俺は、人間を一人残らず殺してやる!
「それでいいのか?シュン…幸せなのかい?」
俺と同じ姿をしたそれは聞いてくる。俺に向かって。
シュンサクは慌てて目を覚ます。顔から大量の汗をかく。お面をつけていないので、汗が地面に落ちる。
「嫌なものを見た…」
シュンサクは立ち上がり、顔を洗う。そしてお面を付けていつもの自分に戻る。
「人間を嫌った魍魎が人間を育てるなんて…」
一人で少しだけ苦笑する。
◆❖◇◇❖◆
そして次々にエルピオンたちが起きてくる。
「師匠、おはよぉ〜」
「おはようさん。顔洗ってきなさい。直ぐに出撃するよ」
「は〜い」
エルピオン達は身支度を整え、フェニックスの元へ向かうことになる。ここから身を引き締めなければならない。
「皆様。後のことはお願いします。ご武運をお祈りしております」
長は深々とエルピオン達に頭を下げる。
「危険ですから、これより先は我々にお任せ下さい。それではクレアさん。案内お願いできますでしょうか?」
「もちろんです。おじい様、行ってきます」
「クレア、危なくなったら、こっちに逃げてきなさいよ」
「わかってます」
クレアは長と抱き合う。そしてエルピオンたちの先導を走り案内して行く。
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