クールン族の長
突然止められた争いに誰もがその姿を見る。
「なぜ止めるのです!長よ!」
「黙りなさい!そこの人間共、そこの入口からこちらに来なさい」
彼に言われた通りに、エルピオン達は向かう。
向かった先には玉座の間のような場所。穴を掘って作り出された形をしている。
「ここは?」
「わしの家じゃ。それと手荒な真似をして申し訳ない」
クールン族の長は深く頭を下げる。
「面をお上げ下さい。貴方様が謝る事ではありません」
シュンサクはすぐにやめるように言う。
「しかし…」
「おじい様、誰かいらっしゃるの?」
奥の洞穴から美しい女性が出てくる。美しい赤色の腰まである長い髪。誰であっても魅了してしまう美しさ。
「えっと、彼女は?」
「おっとすまない。彼女はわしの孫娘じゃ。クレア、この者たちはフェニックス様を助けるために来てくれたものじゃ」
「そうなのですか。初めまして。クレアと申します。フェニックス様のお世話係をしております」
「フェニックス様を?」
エルピオンは疑問に思いながら言う。
「うむ。ここの一族では代々人間の姿で産まれた娘は必ずフェニックス様のお世話をするしきたりがある。中にはそれをフェニックスの巫女とも呼ばれる」
「巫女様なの?!」
「そう言われているだけです。今の私にはそのような力はありません…」
悲しそうに話す彼女にエルピオンたちも何も言えない。そんな時だった。
『キャーーーーーーーーーン!!!!!!』
突如聞いたことの無い叫び声が鳴き叫ぶ。
「なんだよ!今の?!」
「フェニックス様よ!私がいないから探しているのよ!」
クレアは走って洞穴からフェニックスの元へ走る。
「行っちゃった…」
行く場所の無い手をエルピオンは下げる。
「この世界は変わってしまった。昔までは人間たちと意気投合していたのに。今では人間と喧嘩三昧。挙句の果てにあのフェニックス様まで」
頭を抱える長にシュンサクは声をかける。
「安心してください。必ずフェニックス様を昔のあの姿に戻しましょう」
励ますように言うと、長は嬉しそうに喜ぶ。
「ありがとうございます。旅のお方よ」
長はエルピオン達を客間に案内してくれる。その後に風呂にも入れてくれた。風呂は露天風呂になっているため、山の頂上が見える。そこから赤い炎が何度も立ちのぼる。
「あそこに、フェニックス様が居るのですね」
「なんか、怖くなってきたかも…」
不安がるネールにエルピオンは声をかける。
「大丈夫だよ。今回は私の師匠が居る。きっと何とかしてくれるよ」
「そうですね。あの人は本当にお強い。でも、なぜあのようなお面をつけているのでしょうか?」
疑問に思ったハルルカはエルピオンに訊く。
「それは私も分からないの。初めて会った時からずっと付けていて。私にも素顔を見せたことは無いの」
「まずあれで見えてるのかな?」
「見えてるらしいよ。完全に死角から攻撃しているのに遮られるからさ。まぁ、私の予想だけどね」
エルピオンは笑って言う。しかし、不安なのはエルピオンも同じ。フェニックスはこの場所の守り神。それを鎮めるにはかなり力がいる。あの生き物に、勝てるのであろうか。
エルピオン達は風呂から出て寝床に入り、朝を待つことになった。
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