エルス
エルピオン達は魚を焼き、もりもりと食べていた。そんな時に集落が騒がしくなる。
「なんだ?魔族か?」
「それなら私の結界が反応するはずだ。きっとここの人が帰ってきたのだろう」
「どこからですか?」
「それはお前らで聞いて来いよ」
シュンサクはお面を少しずらして魚を食べている。チラッと見える犬歯が鋭く、魍魎だとすぐに分かる。
エルピオンは集落の人のことが気になり、魚を持って向かう。その後をハルルカが追いかける。
◆❖◇◇❖◆
人だかりの後ろからエルピオン達は見てる。
「誰が来たんだい?」
「ああ、エルさん。つい最近ここの出方を探るために出かけていた戦士が帰ってきたんだよ!」
嬉しそうに言う集落の人。前の方にバッファが見える。
「お兄さん!ここの出方わかったの?」
「あぁ、でも俺だけじゃ無理だ。強い戦士たちを率いて向かわないと難しいと思うよ」
どこかで聞き覚えのある声。だがそれがどこなのか思い出せない。人を掻き分けたいが、片手に魚を持っているので行けない。
「この声、もしかして…!」
ハルルカは人の間を塗って通って行く。
「ルカ?」
エルピオンは一口魚を食べる。
ハルルカは「すみません!…すみません」と言いながら通って行き、先頭に出る。転けそうになるが、顔を上げる。
「リーダー!」
彼と目を合わせるハルルカ。彼自身も目を開き、軽々ハルルカを持ち上げる。
「ルカ!無事に逃げれたのか?!生きててよかったよ」
ほっと胸を撫で下ろす。
「いや待てよ?お前がここに居るということは、やつに飛ばされたのか?」
「そうだよ。私達も飛ばされたから」
「私たち?」
「エル!」
エルピオンを呼ぶハルルカは、少し嬉しそうだった。しかし魚を持っているので迎えない。困っていると、集落の人は道を開けてくれた。
「君がエル?」
「ええ、エルピオン・ガーネルスよ。そういえば私、昔にあなたに助けられたことがあるんだけど、覚えてます?」
「昔?それはいつぐらい?」
「十年前よ。確か全てに絶望したような目をしてたと思うけどね」
「ちょっと待ってくれよ…」
彼は少し考える。その場で一回転したり、空を見上げたりと。そして思い出したかのようにポンっと手を打つ。
「思い出したよ。あのディベルターに襲われそうになった少女だね。立派に成長したもんだよ」
「あの時は本当にありがとう。えっと名前…」
「エルスだよ」
◆❖◇◇❖◆
エルスを連れ、アーテルス達が待つ場所に戻る。ハルルカは嬉しそうな顔をしている。
「ルピ〜!」
ネールがエルピオン達に手を振る。エルスは何かに目をつけたのかものすごいスピードで移動をする。
エルスの目にシュンサクが映るからだ。エルスの槍がシュンサクの刀の刃と交わり、青い稲妻が発生する。
「なぜ魔族がここに居るのだ!」
「悪いがこのパーティーに参加させてもらったのだ。貴様に指図される覚えはないぞ」
「二人ともやめてよ!」
「リーダー!私の話を聞いてください!!」
「お前らは魔族に肩を貸すのか?!ならお前たちも同類だな」
憎しみを産むような目で睨まれる。
「ここで何があったのか私達は知らない。だが師匠を傷つける者はいくら命の恩人だろうが許しはしない!」
エルピオンは剣を鞘から抜き、エルスに切り掛る。
「エル!やめなさい!」
咄嗟にシュンサクが声を出す。エルピオンはすぐに止まる。
「お兄さん!僕の話を聞いて!その人は悪い人じゃないんだ!」
バッファが叫ぶとヌリュウはエルスの足に噛み付く。優しく、血が出ない程の力で。ヌリュウは謝っているような瞳をエルスに向ける。
「ヌリュウ…」
ヌリュウが攻撃をするのは悪のみ。彼の海のような瞳は悪を見つめる瞳をする。エルスはシュンサクから刃を離す。ヌリュウもシュンサクから離れる。
「バッファ、説明してくれるよな?」
バッファは頷き、エルスに説明を始める。
ここまで読んでくれてありがとう!
最近書いていて思ったこと、それはストーリーがなかなか進まないこと。
どうやったらサクサク進むのか分からない。
次回もお楽しみに




