小さな集落
山犬について行くと、丸太でできた橋を渡って行く。反対側に扉が着いており、時間になったら占めるシステムになっている。
「どこまで行く気なんでしょうか?」
「もう着くよ」
ネールがそう言うと、木材でできた小さな集落に着く。木を切り抜いてできた集落のよう。
山犬はひと吠えをすると、少年が早歩きでやってくる。
「おかえり、この人たち誰?」
山犬は鳴き声で教えている様。
「そうか、この人たちも…。怪我人が居るんだね…わかった」
少年は山犬の頭を撫でると、ハルルカたちと向き合う。
「怪我人を連れて来て!少しぐらいなら手当ができるから」
「ありがとう、助かります」
ハルルカは魔法を使ってエルピオンとアーテルスを呼び出す。アーテルスは驚いたような反応を取る。
「流石だな」
「バッファよ、どうかしたのかね?」
藁でできた家から長い髭を生やした老人が出てくる。
「町長様!」
彼は走って今の状況を説明してくれる。
「そうであったか。皆ここでゆっくりすると良い。怪我人は山を登った小さな小屋に」
「なんで別なんだ?」
「こちらにも理由があるのだ。早くしなさい。奴らが来てしまう」
疑問に持ちながらもアーテルスはエルピオンを小屋に連れて行く。
◆❖◇◇❖◆
「これで良い。後は安静にさせて居れば、目が覚めるだろう」
「さっきの話、どういう事なのか説明してくれ。奴らとはなんだ?!」
「奴ら……この地を見張っている魔族の者達だよ」
「魔族?こんな所に居るのかよ」
「そうだ。奴らは決まった時間にこの地にやって来て、若い女たちを攫っていく」
「若い女を?エルピオンもその対象になるかもしれないのか?」
「そうだな。その可能性が高い。だが、一番はあの少女達だろう。あの子たちは一番危ない子達だ。気を付けなさい」
彼はそう言うと、小屋から出ていく。アーテルスはエルピオンが心配だが、一人置いておくことにする。
◆❖◇◇❖◆
山を降りると、たくさんの村人が沢山いた。
「なんだよ。こんなに居たのかよ」
「そうみたい」
「そういえば、ちゃんとまだ名前を名乗ってなかったね。僕はバッファ。よろしくね。そんでこいつがヌリュウ」
ヌリュウはガゥと鳴く。
「よろしくね♪︎ネーはネール。ネーニャって呼んで!」
「ハルルカよ。ルカと呼んでください」
ハルルカはアーテルスを見る。
「俺もするのかよ……。俺はアーテルス。テルでいい」
恥ずかしそうに自分の名前を言う。
「みんなよろしくね。何かあったら僕達に言って。力になれるか分からないけどね」
半分笑いながら言う。
「早速ですが、ここのことを教えてもらいたいです」
ハルルカはバッファに訊く。
「ここは、魔族によって閉じられた世界。武器を持っていた人は全員殺されるか武器を奪われる。反乱を起こそうとしても、奴らは強いから返り討ちを喰らう。出口には奴らのボスが立っているから出れないんだ」
「その話を聞くと、俺らもヤバいってやつか?」
「そうだね。だから武器をどこかに隠さないと」
「隠すって何処にだよ」
「僕の家の地下室に。今のところ奴らに見つかってない」
「それではそちらに持っていきましょう。テルさん、武器を持っているのは貴方だけですし」
「ルカ、多分だがその杖も武器に入ると思うんだけど」
アーテルスは頭をかく。
「本当ですか?!ならば透明に消えよ」
ハルルカが魔法を唱えると、杖は無くなっていた。
「杖はどうしたんだよ!」
「一旦透明化にしただけ。呪文を唱えれば元に戻るわ」
「すごいな」
「早く武器を置きに行きなさいよ」
「そうだな」
アーテルスはバッファの後を追いかけていく。
ここまで読んでくれてありがとう!
次回もまた読んでください。ペコリ(⋆ᵕᴗᵕ⋆).+*




