黄泉の鎖
わんちゃん?を追いかけてアルタは走り続ける。そのあとをアイルは追いかけていく。
「お願い!待って!!!」
わんちゃん?はある場所で止まると姿が霧となって消える。レンガの隙間から腕が飛び出しているのが分かる。慌てて退かすとその腕がライガの物だと分かる。全てどかしていくと頭を打っているライガが呻き声を出しながら薄っすらと目を開ける。
「ア、アルタ…?」
「うん!!!そうだよ!大丈夫⁈」
ライガを引きずり出すと額にできた傷を癒していく。アイルは崩壊している建物をどかしてその下に居るガレオを見つける。
「大丈夫か?」
「なんとか…」
「ほかのみんなも探さないと…!」
「アルタ!!!!!」
聞き覚えのある声にアルタは顔を上げるとヒュリーとその家族がやってくる。ケガもしていないようでほっとしてしまう。そのあとで闇アルタとベルーラがやってくる。
「二人とも!無事だったんだね…!」
「なんとかな」
「僕あまり覚えてないけど、闇アルタくんがずっと手を握っていてくれたのは分かっているよ」
ベルーラは闇アルタを見るが彼は目線を逸らして遠くを見る。
「なぁ、アルタ…。わんちゃん見てないか?」
頭を押さえながらライガは起き上がるとアルタに聞く。アルタは首を横に振るとガラスを踏みつける音が聞こえる。全員が顔を上げるとそこには鮮血を大量に零しながら折れ曲がった足を引きずるラルカの姿がある。
「ラルカ…!」
「許さない…!こんなはずじゃ…!!!私の計画は…!こんなんじゃ!!!」
「ラルカ…!お前の負けだ!魔人は消えたし、お前の願いは叶わない」
「うるさい…うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい!!!!!!!!」
絶叫するラルカは小型のナイフをライガに向ける。脅しているようにも見えるが、怯えた子供のようにも見えてくる。
「お前らまとめて…皆殺しだ!!!!」
ライガは剣を取り出すがラルカの足元が暗くなり血で汚れた鎖がラルカに絡みつく。
「なんだ…これは…」
今置かれている状況がうまく読み込めずにラルカの目は泳ぎまくる。
「もうお前も終わりだってことさ」
「お前は…!」
姿を見せたのは灰で顔が汚れたミリアの姿。ミコアはラルカに近づくとその鎖はミリアにも巻き付く。
「こいつは黄泉の鎖。死んでもなお、罪を犯すものを地獄に連れて行く鎖さ」
「黄泉の王は…死んだはず…!存在しない!!!」
「だと思うよな?だけどいるんだよ。お前が殺したわんちゃんの兄弟がな…!」
「あいつが…????!!!!」
「そうさ、だから俺と一緒に来い!!お前が逃げようとすれば俺がその足を切り落としてやる!!!それに、約束しちまったからな…」
ミリアはうっすらと悲しそうな顔をする。ミリアはヒュリーと目が合うと不気味な笑顔を見せる。
「おいヒュリー!俺の大事なマヌスが、煙が立ってる場所で倒れとるから…助けてくれよ?」
「わかった…」
ヒュリーは了承するとラルカを捕まえて暗がりの悲鳴が聞こえる場所に消えていく。これで本当に終わったのだと思うと、力が抜ける感覚がある。しかし胸のもやもやは誰も消えたりしない。
ここまで読んでくださりありがとうございます!!
次回もお楽しみに
 




