閉じられた世界
くすくす笑うのは、魔王の力を奪っていったマヌス。
「お前、ノコノコと出てきたのかよ」
彼は怒りを見せる。
「アンタには用はないよ。それより…あの双子死んだのか」
仲間に死なのに、平然とするマヌス。
「あなた、仲間が死んだのに、よく平然としてられますね!」
珍しく怒るハルルカに対してマヌスは大笑いをする。
「何が可笑しいの!」
「仲間?あんな雑魚が?僕の仲間はもっともっと強いよ」
マヌスは大きな手裏剣型の刃を取り出し、魔王に投げる。
「危ない!」
エルピオンは咄嗟に動き、魔王の前に立って剣を使って遮る。
「へぇ〜!なかなかやるね、君。でもまだまだ。僕の仲間に勝てっこないね」
「なんだと!」
「でも君たち邪魔だし、この世界から消えて」
彼は魔法を使うと、エルピオン達は異空間に吸い込まれていく。せっかくのチャンスを自分たちは逃してしまった。
◆❖◇◇❖◆
エルピオンは波の流れる音に耳を傾けていた。すぐ側で草木が揺れる。そして犬が匂いを嗅ぐ時の音。嗅ぐ音?!
エルピオンは慌てて起き上がる。
「うわ!何こいつ…」
エルピオンの隣には大きな山犬が座っている。
「ここは…どこだ?」
辺りを見渡すとエルピオン達は小さな泉にいるようだ。泉は濁っているが、見えなくなるほどではない。
「まじでどこだよ」
「=目覚めましたか?=」
すぐ近くで女性の声がする。
「誰だ!」
声を張り上げると、また声が聞こえる。
「=ここは、閉ざされた世界。闇の魔物たちに支配されている世界です=」
「閉ざされた世界?」
「=はい、私の名はアリーゼ。この地の護りし森林の守り神です=」
「アリーゼ。なんであんたそんな弱々しいんだよ」
エルピオンは弱った声を出すアリーゼに問いかける。
「=今の私は、光の力を奪われ、力がほとんどありません。魔族は私の光の力を光の虫に変えられています。どうか見つけてください=」
アリーゼがそう言うと声が途絶える。
「光の虫、か…」
すると、後ろで呻き声と苦しそうな声がする。
「みんな、大丈夫か?」
「エル、気がついていたんだね。それより今誰かと喋ってた?」
「なんかここの守り神様とね」
「守り神?」
「今はその話は後だ。まずここがどこなのか探さないと」
「そうね。魔王さん起きて下さい!」
ハルルカは魔王をバシバシ叩く。
「痛いな。てゆうか、いい加減俺の事魔王って呼ばなくていいぞ。テルでいいぞ」
「それもそうね。じゃあテル、一緒に村探ししましょう」
「へいへい」
ネールも二人に着いていく。すると、後ろでバシャ!と水の上にものが落ちる音がする。
「エル?」
ハルルカが振り向くと、エルピオンが血を流して倒れていた。
「エル!」「ルピ!」
二人は駆け寄る。アーテルスはエルピオンの体を持ち上げる。
「しっかりしろ!」
声を掛けるが、応答が無い。エルピオンが怪我している場所に自身のマントを破り、傷を抑える。
「こんな傷、一体どこで…?…まさか!」
アーテルスは自分を護るためにあの刃を逸らしてくれた。まさかその時にと思う。
「お前ら、悪いがどこかに休めれる場所、できるなら集落かなにかないか探して来てくれ!」
「わかったわ、もし見つけたらあなたたち二人を瞬間移動させるわ。出来なかったら…」
「私がこっちに来る!」
「その方がいいね。急ぎましょう!」
ハルルカ達は走り出そうとすると、先程からいる山犬が吠える。
「何かしら?」
「着いてこいだって」
人狼のネールは犬の言葉がわかるらしい。ネールは山犬の後に着いていく。
「ネーニャちゃん!待って下さい!」
ハルルカはその後を追いかける。
ここまで読んでくださりありがとうございます!
エルピオン達が違う世界に飛ばされてしまいましたね。実はと言うと、この違う世界は「ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス」をイメージした世界となっています。私はゼルダの伝説が好きで好きで、ぜひやってみたいなって思いました。今「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」をやっています。良かったらゼルダの伝説やってみて下さい。
次回も読んで下さい。




