呼び戻された戦士
多くの仲間が怪我を負い、戦える戦士だけではこの魔人を倒せない。魔人の中にいるラルカは余裕の笑みを見せる。だがわんちゃんを喰らおうとした時に魔人は動きを止めた。その謎だけまだ解決をしていない。
わんちゃんを掴んでいる腕を狙ったとしたら、わんちゃんの味方だと言える。しかし魔人の能力を発動した時に誰も姿を見せていない。気のせいだといいが、ラルカは胸騒ぎが収まらない。
「あの爆撃は…まさか威嚇攻撃⁈だとしても、いったい誰が…。近くの住民は全て化け物に変えたはず」
ラルカは魔人の目で周囲を観察する。砲撃範囲から推測すると見えない位置からではない。しかしわんちゃんたち以外の人の気配はしない。その瞬間ある者たちのことを思い出す。気配を感じ取らせないように移動することのできる者たちがいる。
「まさか…!!!あり得ない!!!!!彼らはあの時死んだはず!!!!!!!」
ラルカがその存在に気付いた時にはもう遅い、魔人は砲撃を受ける。魔人の上に乗る兵士はライフルを構える。しかし場所が掴めない。
「また砲撃が…!!!」
わんちゃんたちは顔を上げると後方から車とは違う機械音が鳴る。姿を見せたのは戦車、戦車からはライフルが少しだけ見えている。ライフルは弾丸を打ち込むと魔人の肩にいる兵士を撃ち落とす。落下していく兵士にわんちゃんたちは驚きの表情をする。
「すごい!!!」
「あの兵士を撃ち落とすなんて…」
戦車から出ているライフルはすっと中に戻る。戦車はわんちゃんたちの隣で動きを止める。
「ねぇ、わんちゃんくん…」
アルタはわんちゃんに驚いた表情で聞いてくる。その顔は今にも泣き出しそうになっている。
「アルタ…?」
「今、戦車から出ていたライフル…ガルボくんのライフルに…似てるの。私、いつも見ていたから、間違い無いと思うの」
わんちゃんたちは戦車を見ると出入り口が開きライフルを持ったゴーグルを付けた青年が姿を見せる。黒髪に毛先が赤い青年はゴーグルを外すと目を押さえる。
「あーーーーー!!!目痛って…!!!!もう少し安全に運転できないのかよ!!!!」
「無理を言うな!!!戦車の操縦なんてやったことないんだぞ!!!!それに障害物だらけなんだから、安全に向かうのすらむずいぞ!!!」
「あと、僕にも感謝してよね…。ラルカにバレないようにここまで来るの大変なんだから…」
「「それには感謝してる」」
「てかこれ三人乗りなのに四人で乗ってるんだよ!!!!!」
「俺走れないもん」
戦車の中からわらわらと出てくる四人にわんちゃんたちは自身の目を疑う。戦車から出てくるのは、ラルカによって死んだ戦士なのだから。
「お前ら、何でここに…」
わんちゃんと目が合う彼ら四人は固まる。わんちゃんたちと会う気はなかったかのような態度に四人はヒソヒソ話を始める。
「どうする…!わんちゃんたちのところまで来ちまったぞ!!!」
「親父にバレないようにやれって言われてるのに…!!」
「僕何も考えてないよ⁈」
「もうバラせばいいんじゃない?」
「「「それはだめ!!!」」」
「お前らの声丸聞こえだぞ!!!!」
わんちゃんの声に四人は驚く。草むらの中から出てくるヒュリーとビリーと目が合う四人は慌てて目線を外す。
「え…何で」
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