群青色の髪
ハンスの大地を使った術式に攻撃手段が無いグリアは上空に逃げる。しかし彼のジャンプ力は計り知れず、飛び立ったとしてもグリアより上空に居る。強靭な踵落としにまた地面に戻される。
「術式ー脚力ー悪魔の鎌!!!!」
もう一度踵落としをしてくるハンスをグリアは避けると刃で引き裂かれた跡ができる。グリアは避けきれずに前左の肩に斬られてしまう。機械の体は外れかけているためにうまく動かない。
「やはり古代兵器とはいえ、所詮機械だ。全て破壊して、終わらせてやる!」
ハンスは構えをすると陣が地面にできる。砲撃をするために銃弾を構えるがエラー信号が出る。先ほどの攻撃で内部が故障してしまっている。反撃ができないグリアは頭で考えるが思考が追いつかない。
「これで終わりだ!!!!」
ハンスは高速でグリアに殴りを入れる。急所に入ったグリアの巨体は地面を転がる。大量のエラー音に他の音が聞こえなくなる。ハンスは何かを口走っているがうまく聞こえない。エルピオンのために蘇り、エルピオンのために戦っているのに、これでは足手纏いになってしまっている。
うまく動けないグリアにハンスは余裕そうな表情でグリアに近づく。大型とは言え、ただ的がでかい獣以外なんでも無い。
「ラルカさんが警戒するほどのものではないな。だが、別の人間は警戒するように言われていたな…。確か、べルーラというやつ」
戦場に出る前にラルカに言われていたこと。それは群青色の髪を後ろで束ねたべルーラという男のこと。彼の戦闘術は並外れているらしく、蹴りだけで大型猛獣の首を折るほどの威力。しかも気配をほとんどさせずに近寄って来て必ず急所を狙ってくる。
「今見る限り、そいつが居るような嫌な感じはしない。これ以上時間を使う訳にはいかない、早く別の奴らを倒しにいかなければならない」
ハンスは余裕を見せながらグリアに歩み寄る。一歩、また一歩と近づくと一瞬だけ背後から獣のような殺気を感じる。その気配に体から冷や汗が溢れ出る。
恐怖から後ろを振り返るがそこには誰もいない。一体どこから来ているのかがわからない。今まで味わった事のない恐怖に笑顔が溢れる。これほどまで強い者が今日まで出会わなかったことに感謝しかない。
「どこのどいつか知らないが…こんな感覚初めてだぜ…」
少し余裕を見せるハンスにグリアは一時彼の前から逃げようとする。
「逃げようとしてんじゃねーよ…!!!!!!」
注意がグリアに向いた瞬間、音も無く群青の男が姿を見せる。ハンスの反応が追いつかないスピードで彼の腹を蹴り飛ばす。強力な蹴りに爆風が起こる。吹き飛ぶハンスは地面でバウンドすると体勢を戻し地面に両足を着けて衝撃に耐える。地面が抉れ、摩擦で煙が出る足跡にハンスは胃液を吐く。
「どんな力したら…これだけの威力を出せるんだよ…」
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