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悪魔神のささやき

 ハルルカは何発も下級魔法を繰り返し連発する。


「なにそんな小さい魔法を連発をしているのかな???同じ魔道士だからって、手加減してんじゃねーよ!!!!!!」


 アンネールは中級魔法を発動してハルルカを攻撃する。援護をするようにナルネスも攻撃をするが放った先にはアンネールの姿はない。


「どこに…⁈きゃ!!」


 ナルネスの背後に回ったアンネールは彼女の首に手をかける。


「ナルネス様、これから私と一緒に来てもらいましょう。大丈夫です、ラルカ様なら優しく丁重に扱ってくれますので」


 優しく言うアンネールだが首にかけている手は締め付ける一方。苦しくなるナルネスだが、その顔はあきらめていない。何かを信じている瞳でアンネールを見つめる。その様子にアンネールは違和感を覚えることになる。


「あなたは…何かを、忘れているのじゃない?私を…守る、ある一族が…!いることを」


「なんですって?」


 アンネールが気が付いた時にはもう遅かった。ナルネスを離し、一般市民を使って盾を作ろうとしたが彼の方が素早い。彼は瞬時にアンネールの元へやってきて彼女を殴り飛ばす。防護魔法を展開して地面との衝撃を回避する。しかし衝撃までを回避はできずに一瞬脳震盪を起こす。しかしすぐに回復魔法を発動し脳震盪を直す。


「まさか、こんなに早くやってくるなんて…。恐ろしいわね魔族というのは…」


 アンネールを殴り飛ばしたのは魔族の姿になったソラ。ナルネスの危険を察知してここまで高速でやって来た。


「ナルネス、大丈夫そうか?」


「何とかね…。でもまさかあなたが来るとは思ってなかったわ」


「話はあとだ。それよりあの女、魔道士か?」


「そう、名前はアンネール。主に使うのは闇魔法よ」


「魔族と相性悪すぎでしょ…」


「そうなのよ」


 二人はアンネールに向かって哀れみの笑顔を見せる。


「よくもレディーの顔に傷をつけたわね…ぶっ殺してやる!!!!!!!」


 アンネールは闇魔法を発動しようと杖を向けるが、発動しない。訳が分からず呪文を唱えるが魔力が集まる感覚自体無い。


「なに…⁈どうなっているの???」


「残念だが、今のお前では闇魔法は使えない」


「そんな…!!どうして???!!!」


 突然のことで面食らうアンネールは魔法が使えないことに恐怖する。自身の胸を見ると見たことのない魔法陣が展開しているのが分かる。


「お前、闇魔法がどの種族から生み出されたものなのか知らないというなよ?」


「闇魔法は…魔族が主に使う…」


「そう、元々魔族が使うことのできるもの。だがその闇魔法は魔王によって管理され続けている。魔族同士の争いが起こらないように魔王のみが使うことが許されている魔法。闇魔法のみ使用を禁じる魔法。それをお前の身体に刻ませてもらった!俺が解かない限り、そなたは使うことすらできない」


 そのことにアンネールは言葉を失う。自身が得意とする魔法が封じられ、抵抗する力を奪われたのと同じ。彼女の中にあるのは絶望。ショックと魔道士としてのプライドを傷つけられたのと同じ。得意とするものを封じられるのはその魔道士の存在自体否定されたのと同じ。


「私、どうしたら…」


『何してるの?魔法が使えないだけで、すぐに諦めるのですか?』


 耳元に聞こえる声にアンネールは恐れが脳内をかける。その声はラルカそのもの。恐る恐る振り向くとそこにラルカの姿がある。その瞳には怒りが込められている。アンネールはそのことに悲鳴を上げる。それを見つめるソラたちにはラルカの姿を映らない。彼女が何に怯えているのかが分からない。


「いったいどうしたんだ?」


「わからないけど、なんか嫌な予感する…」


 酷く怯え始めるアンネールだが目を背けてもラルカの姿が映し出される。


「いや…やめて」


『アンネール…?得意な魔法を封じられただけで何を恐れているの?それでも魔道士なの????』


「それは…!!!」


『あなたはそんなに意気地なしなのかしら?そんなんだから人類はあなたの存在を否定するのよ。ほら、早く戦いなさい。勝手に諦めて敗北した様子を見せるんじゃないわよ…。それじゃ、名家の魔道士一族に泥塗るわよ…?』


 その言葉に家族からの冷たい声が聞こえてくる。アンネールの家族は名家の魔道士。裕福な暮らしをして優秀な魔道士として世の中に出て行った。しかし闇魔法を強く使えるアンネールに対して家族は批判の声を上げ、彼女を罵り続けていた。そのことにアンネールはトラウマで精神的に苦痛を味わっている。

 もうあの時の自分に戻りたくない。そう思いながら外に出てみたが、誰からも必要とされていない世界だった。そんな世界で唯一ラルカだけが必要としてくれた。彼女には見放されたくない。見放されたら誰からも必要とされない昔の自分に戻ってしまう。

 アンネールは独り言のようにぶつぶつと何かを言い続ける。その様子に不信感を持っていると彼女はナルネスたちに向かって極大魔法を放つ。


「私は…ラルカ様の忠実な部下なの…!あの人に存在を否定されては、生きていけないの。だから、みんな死んで?」

ここまで読んでくださりありがとうございます!!

次回もお楽しみに

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