一人の娘として
ネイカはバンに近寄り、にっこり笑う。
「ネイカ…さん」
「バンさん、後で火炙りにでもしましょうか?」
「え?」
「そのぐらいしても良いですよね?私を殺したんですから」
「いや…それは…」
「今更逃げる気ですか?そうはさせません。これからバンさんは償いをしてもらいますね」
「償い…ですか?」
バンは恐れた顔でネイカを見つめる。ネイカは見つめる目に光が灯っていない。恐ろしさが出まくっている。
「はい。まずは二択を出します。どちらが良いのか答えてください。私の母の仲間になって闘うか死ぬ方が辛い拷問を受けるか選んでください」
「わんちゃん・アデルの仲間になります!!!!!」
「よろしい。その話は戻ってからにしましょう。エルピオンさん、戻りますよ」
「は、はい…」
◆❖◇◇❖◆
バンから出ていたムカデは消え、バンを寝かせる。どうなっているのか分からないわんちゃんとジーナはエルピオンが戻ってくるのを待つ。
「母さん、エルちゃん大丈夫かな?」
「大丈夫だろ。まぁ戻ってきたらほっぺたつねってやる」
「エルちゃん母さんの悪口でも言ったの?」
「本人から聞け」
「え〜?」
二人が会話をしているとエルピオンの唸る声が聞こえる。二人はエルピオンを見ると薄らと目を開ける。まだ意識が朦朧としているためにまだはっきりと言葉にできない。
「エル、大丈夫か?」
「わんちゃん…さん」
「そうだ。だいぶ体力が消耗しているな…」
「バンは…?」
バンを見ると彼も目を覚まし、顔が青ざめている。
「お前顔色悪いけど…大丈夫か?」
「おえええええええええ…!!グェ…!!!!グガッッッ!!!」
バンは嘔吐をすると緑色の液体と共にバラバラになった小さなムカデが出てくる。
「母さん、これ何?」
「あの女が開発した人を洗脳する薬品だ。こいつから出てきたムカデは、薬にムカデを液体にしたものだろうな」
「気持ち悪っ!!!!」
「だろうな…ナルネスさんが作らなかったことに感謝だな」
わんちゃんは苦笑いをするとネイカが姿を現す。落ち着いた表情をしているがわんちゃんとジーナがガン見しているがよくわかる。
「そんなに見つめないでよ〜」
「お前…死んだんじゃ…⁈」
「確かに死んだと思うよね。なんと私死んでないんです!!なんでか分からないけど、生きていました!!!!」
自慢にいうネイカだがわんちゃんは優しく抱きしめる。母親らしい態度にネイカは戸惑ってしまう。それと同時に目尻が熱くなる。死という別れに一番恐ろしく思っていたために生きている実感を味わうと胸までも苦しくなる。
「おかえり、ネイカ」
「ただいま…ママ」
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次回もお楽しみに




