阿吽の呼吸
エルピオンは後ろに後退し、二人はバンを見つめる。
「お前と組むのは久しぶりだな…」
「確かに、いつも母さん父さんとだし」
「遅れを取るなよ…?」
「誰に言ってるの?」
二人はお互いに見つめ合うとアイコンタクトで言葉を交わす。二人は一気に走り出す。バンは剣を構えると目に見えない速さで刃を振るう。その瞬間わんちゃんは手を叩く。その瞬間二人の立ち位置が変わる。わんちゃんは小声で『闇』を呼び、黒刀が手元にやってきて見えない刃を斬る。
「馬鹿な!!!」
「その手口、サルトさんがよくやるんだよ!!!何度も受けたらお覚えるもんだよ!!!!!」
二人はお互いに位置を変え、刃を振るう。バンは剣を取り出し二人の刃を防ぐ。その瞬間ジーナは足蹴りでバンの腹を蹴る。後方に下がるバンは魔力を使い黒い衝撃波を刃に変えて二人に打ち込む。それをジーナが大剣で抑える。
「その大剣、防御力高いよな…」
「だから使ってるんだけど」
「だよな?そろそろ抑えにかかるか!」
「了解…!」
二人は攻撃が止むと走り出し、わんちゃんが手を鳴らすと二人の位置が変わる。
「こいつは…⁈」
「気づかれた⁈」
「気にせずいけ!!!」
わんちゃんが前に出るとバンの目の前で二人の位置を変える。その瞬間ジーナはバンに向かって殴りを入れる。しかし黒紫のような色をした大ムカデが壁となる。そのムカデはバンの背中から出ている。人である彼がこのような能力を持っているわけがなくわんちゃんは目を丸くさせる。
バンは苦痛で胃液を出しながら声にならない悲鳴に顔を歪ませる。ムカデは一体一体増え、合計で四本のムカデの体が彼の背中から出てくる。
「こいつは…」
「かなりまずいな…!!!!!」
わんちゃんはジーナを抱えて後方に下がる。だが彼の攻撃が早すぎてジーナを下ろせない。
「母さん!!!!」
「今降ろせない!!!!こいつはかなりまずい!!!!!!」
わんちゃんの目はあらゆる方向に目線を動かす。ムカデの動きに集中しすぎでバンの存在を忘れかける。その瞬間を狙われ、バンの刃がやってくる。抑えた瞬間、ムカデが一気に飛んでくる。
「ヤッベ!!!!!」
「ー煉獄の舞ーー炎鳥の渦ー!!!!!」
炎の鳥が渦を作りわんちゃんとジーナを炎の中で守る。ムカデは炎の刃で焼け、バンにも火傷を負う。バンは人形にでもなったかのようにふらつく体で立ち上がる。
「エル!!!助かった」
「もう、バンさんの声が聴こない。今の痛みでストレスが溜まり、心が壊れかけています。早くしないと…!」
「エル、早まるな。助けたいのはわかるが、無闇に突っ込んでも意味がない」
「わかってます。でも…!!!」
エルピオンはわんちゃんを見ると瞳が殺意の目になっておりエルピオンは思わず息を呑む。恐怖で冷や汗が溢れて出てくる。
「そっちがそれを使うなら、こっちも同じやつ出すぜ」
ここまで読んでくださりありがとうございます!!
次回もお楽しみに




