ジーナと共に
エイリアンの中を走り続けるエルピオンを見つけたジーナはわんちゃんがいないことに嫌な予感がする。
「エルちゃん…なんで一人?」
「よそ見してるんじゃねーよ!!!」
ラルカの軍のやつらがジーナに押し寄せるが、ジーナの額にはアデルの力とは別の力が働いている。
「チルエラ!ジナル!!!」
『はい、主人!!!」
二人の人を召喚し、軍人を排除してもらう。
「ここは二人任せる!!」
「了解です」
わんちゃんに似ているチルエラはジーナのことを目で追いかける。
「誰かいたのか?」
「きっとエルさんでしょう。前に話していた新しいアデルの人です」
「あ、あの女の子…!結構いい体してるよね〜」
「無駄口叩いてないで、ここにいる人たちを蹴散らしなさい」
「は〜い」
二人は軍人を切り刻みながらエイリアンも切断していく。
◆❖◇◇❖◆
エルピオンは一人で走っていると死体で足を掬われる。転びかけたところをエイリアンに狙われるがジーナの刃で切り刻まれる。
「ジーナさん!!」
「エルちゃん、なんで一人なの⁈母さんは⁈」
「敵の一人を追いかけて行ってしまいました」
「?もしかしてだかけど、そいつ髪色赤い?」
「えっと…確かに赤かったような…。でも胸辺りに古い傷が…」
そのことを聞くとジーナは顔が青ざめる。ジーナの意外な反応にエルピオンは目を丸くさせる。向かってくる敵を薙ぎ倒しながらまた走るとジーナわんちゃんが向かった方角を聞いてくる。
「えっと、確か…私案内できます!!!ついて来てください!!!!」
エルピオンはわんちゃんが向かった10時の方角に走って行く。ジーナの表情はやはり焦っている表情をしている。あの騎士とわんちゃんは何かあるのかと思い悩んでしまう。
◆❖◇◇❖◆
バンを追いかけるわんちゃんはやっとのことでやつに追いつく。静かな闘いやすい場所に二人で居るとバンはわんちゃんを見つめる。
「なぜ追いかけてきた?今は闘う時では無いはずだ」
「俺は…お前も殺さないといけない…いや、絶対に殺す…!!!!」
「なぜ?」
「忘れたとは言わせない…!!!お前は…!!!なぜ俺の娘を殺した⁈」
バンはその時に思い出す。センテイル国の前の国、アルビラ国のことを。バンはその国で暮らし、騎士王にもなっていた。しかしその国はバンにとって重荷になっていた。容赦ないプレッシャーにかけられて、その国を消滅させることにした。近くの国ではラルカ軍とモンスター軍で争いが続いている日々。一つぐらい国が無くなったとしてもこまりはしない。
「バン騎士王…これは一体なんですか?」
バンの前に一人の黒髪の娘がいた。この国に逃げてきた娘だったが、あの有名なガーネルス伯爵の夫人になったと言われている。しかしガーネルス伯爵一家はずいぶん昔にリオン国に逃げたと聞いていた。
「其方は、ガーネルス伯爵夫人。それは自分が聞きたいです、どうしてリオン国に行かなかったのですか?」
「私は、今はもう夫人ではありません。あの伯爵家はこの国にいるまでの契約です。元は逃げて来た一人の娘にすぎません」
「逃げないんですね。自分は国民を全て殺しているのに」
「人が死ぬのは嫌と言うほど見て来ました。母は軍人のような人ですから」
「其方の母は、お強いのですね」
「えぇ、母の名は、わんちゃん・アデル。私にも、アデルの血が流れています」
ここまで読んでくださりありがとうございます!!
次回もお楽しみに




