心のある機械
地割れのような地響きに足元を掬われながらカルラは古代兵器を地上に出した場所に向かう。あの古代兵器を操れるのは彼女だけ。あれの暴走を止めなければどうにもできない。
「急がないと…!」
カルラは小走りで古代兵器がいる場所に向かう。到着するとドラゴン型の古代兵器が機材を壊しながら暴れ回っている。何人もの職員を踏み潰した形跡もある。
「カルラ様!!!お願いします!!!!」
逃げ惑う職員たちに目もくれず、カルラは古代兵器に向かって古代語を使う。
「※※※※※※!!!」
カルラの言葉に反応を見せるが、声高らかに遠吠えをする。先ほどまでの反応と違う動きに彼女は困惑する。
「なぜ⁈どうして拒むの!!!」
『だって、あいつはただの古代兵器じゃないもん』
幼い少女の声が背後から聞こえる。カルラから冷や汗が垂れる。聞き覚えのある声、この周りを凍らせてしまうほどの冷たい冷気に似た冷たい声。意識をすればするほど、恐怖がやってくる。
『聞こえてるんでしょ?私の声が。ねぇ、お姉ちゃん?』
慌てて振り返るとそこには職員しかいない。妹である彼女の姿はない。カルラは思わず笑顔が溢れる。とっくの昔に妹はこの世から消えている。これもただの幻聴。そう思い込みたいが、この腕に残った凍傷が忘れさせてくれない。
「カルラ様!!古代兵器が止まりません!!!どうしますか⁈」
「あなたたちは急いで避難して機材を正常にして!!こいつは私に任せて!!!」
『はい!!!』
職員が消えると古代兵器はカルラに向かう。カルラは鮮やかに避け鎖によって拘束する。
「どういうこと…⁈古代兵器は古代語で作動するようになって居るはずなのに…!!」
『これはもうただの命令で動く古代兵器じゃないの…。これは人の魂が入った兵器なんだよ。お姉ちゃんの命令なんて聞きもしないんだから』
「リリィ…!あなた何をしたの⁈」
姿を見せたのはカルラとよく似た一人の少女。足が無く、真っ白なワンピースを着用している。
「何したのか…ね。私は何もしてないよ。あれの中に炎で焼死した人の魂が宿っただけ。それはどこからかやってきたみたいなの。アマテラスの炎に辿ってね」
「アマテラスですって⁈あのリオン国で行われていた人柱の炎を辿ってきたとでもいうの⁈」
「それしか考えられないよ。多くの魂がこの場所に集まってきてる。もちろん心の安らぎを求めてね?」
「ラルカ様を…神だと思って居るのね!!!!」
「誰もあの悪魔みたいな悪女だとは言ってないよ」
「悪女ですって⁈」
カルラはリリィに詰め寄る。彼女にとってラルカは神そのもの。己を楽園に運んでくれるミカエルだと思っている。それを侮辱されるのは心底腹立たしく思う。
「そうだよ。お姉ちゃんも考えてみてよ、あの女は人類を誰なのかわからない化け物に変えて、世界征服を目論んでる。それにあの人がお姉ちゃんを探していたのは古代語が読めるから。それが無かったらお姉ちゃんなんていらない」
「黙れ!!!!あのお方は私を絶望の世界から救い出してくれた大神様だ!!!あの人の悪口を言うお前なんて…死んでよかったよ!!!!!」
ここまで読んでくださりありがとうございます!!
次回もお楽しみに
 




