港町にいる騎士
今回で第一章の最終話です。
お茶を飲み終え、エルピオンは出発しようと準備をする。
「もう行くのですか?」
「当たり前だ、ゆっくりしてられる時間はない」
すると、裏で女性の声が喚いている。
「陛下!お待ち下さい!」
振り返ると、武装をした魔王がこちらにやってくる。
「陛下、武装などしてどこに行かれるのです!」
魔王はエルピオンの前に出て跪く。
「エルピオン様、どうか貴女様の部下に加えて頂きたいのです。必ずお力になります。どうか」
「そんなことやめてくれ!あんた一応王様なんだよ!」
そういうが、魔王はやめない。
「わかった、仲間に入れてあげる。それでいいか?」
「ありがとうございます。これからよろしく頼む」
改めて彼の身長を見ると、自分より頭一つ抜けている。
「陛下!行かれるのでしょうか?」
「もちろんだ。魔王の力は俺しか取り戻せない」
「ならば近くの港町にお行き下さい。そこに騎士様がいらっしゃいます」
「わかった、そこに行こう。エルピオン殿、よろしいですか?」
「それは別にいいが、騎士様って誰?」
「騎士様はこの魔族の中では魔王様に続いてお強いお方です。きっと貴女様のお力になるでしょう」
「そうなのか」
「エル、急ぎましょう」
ハルルカは急がせる。
「わかった!すぐ行くよ。魔王、行くぞ」
「私はアーテルスだ」
「ならテル、よろしく頼むよ」
エルピオンはそっと笑い、城を出る。
◆❖◇◇❖◆
城を出たエルピオン達をそれは目をやる。
「見つけた見つけた。あいつらどうする?」
「殺すに決まってるよ。あの人の命令だよ」
「どうやって殺す?」
「もちろん、残酷にだよ。ただし、首だけは綺麗にね」
それはくすくす笑う。
港町に向かうエルピオン達。先頭を歩くのはネール。何かの歌を歌いながらスキップして歩く。
「ネーニャ、待ちなって。あいつ歩くの早いな…」
「早く行かないと日が暮れちゃうよ」
「大丈夫だよ。そんな早く日が暮れたりしない」
「そんなこと言って、暮れても知らないよ」
エルピオン達は木でできたアーチを通ろうと進む。しかし、なにか察知したのか、ウルファスはネールを下がらせる。
「どうした?」
「変な気配がする。誰かいる」
エルピオン達は周りを固める。
「さすがわ人狼だね」
「さすがだね。うふふ」
木の上で双子が笑う。この二人は何者だろうか。
第一章ここで完結。
ここまで読んでくださりありがとうございます。今回で一応第一章完結。次回はまとめ的なものを書いて、番外編を書きたいと思います。




