崩壊の印
建物の下敷きにされたエルピオンは小塔の下敷きになった感覚を思い出す。体には人の重さと瓦礫の重さで体が軋む。
「一体…どうなって…」
「城ごと崩壊したんだ。あれだけの勢いだ、俺らごと消し飛ばなくてよかったよ」
目の前にわんちゃんの姿を見ると瓦礫の隙間から光が差し込んできてわんちゃんの様子がわかる。頭部は一部破損しており、その傷口から出血している。腹部にも生暖かい水のようなモノにかなり出血しているのがわかる。
「わんちゃんさん、傷が」
「大丈夫だ、このぐらいの怪我…天界兵士団やってた時よりマシだ」
「どんなに危ない仕事していたんですか…?」
「そんなことより、ここからどうやって出るかだな」
わんちゃんは瓦礫を押したりしているが、動く形跡がない。太陽の光が入って来ているのがわかるため、地上にはかなり近いのはわかる。
「そうですね、だけかが助けてくれるのなら話は早いけど」
すると少しだけ瓦礫が動いているのがわかる。それと同じタイミングで人の声も聞こえる。
「誰かいますよね…?」
「そうだな、だけどライガたちじゃない。誰だ?」
その瞬間瓦礫を持ち上げられて太陽の光に目が眩む。目が慣れてくると一人の真っ赤な髪色のをしたエルピオンに似ている一人の娘が助け出してくれる。
「おうお前ら、大丈夫か?それともお邪魔したかな?」
「恋仲では無いです」
「でも、助けてくれてありがとうございます…?」
「なんで疑問系なんだよ…。おいカイリ〜〜〜!!!見つけたぞ」
彼女の声に反応してやってくる青年にエルピオンは見覚えがある。それは別の世界で砂漠の処刑場でマヌスのフリをさせられていた青年。名前はたしかカイリ・ユウと言っただろうか。しかし彼はもう一人の天空人と成仏されたと思う。
「どうしてあなたが…!」
「お久しぶりですエルさん。そして世界神わんちゃん様にご挨拶申し上げます」
カイリはわんちゃんに一礼をするとエルピオンにここに来た理由を話す。確かに彼は成仏されたが、このエルピオンによく似ている女に呼び止められたらしい。カイリは彼女のことを紹介する。
「彼女はエリエラ。エリエラ・ガーネルス。エルピオンの……どの辺ですか?」
「ひいひいひいひいひいひいおばあちゃんだ!!」
「だそうです」
「言いにくければばあばでいいぞ!!!」
「だから…私と似ているんですね」
「まさかだと思うけど、天空人とか?」
わんちゃんの言葉にエリエラはゲラゲラ笑う。
「確かに天空人だ!!!だけど、あのラルカの仲間では無い。あの女のせいで、めんどくさいことになっておるんだ」
「「めんどくさいこと?」」
「話はあとだ、まずは来てくれ。会ってもらいたい奴らがいる」
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