神の狭間
光の強さで目を閉じてから目を開くと、そこには平和な世界が広がっている。
「ここは…」
その反応はエルピオンだけではなく、わんちゃんもである。
「あの〜エルギさん?これは一体」
「むっちゃクチャ、平和だね」
わんちゃんが来たことに気づく一人はそっとやってくる。
「あれ?わんちゃん」
「グレスさん…これは一体」
「いやな〜ここの場所暇すぎてやることないからみんなグータラしている」
「俺らさ、今上で闘っていたんですが」
「うん、知ってる」
「知ってるじゃないです。助けてくださいよ」
「いや、裏からの出方を教えてくれないと」
「あれ?俺教えてない?」
「あの、もしかしてルシファーさんに教えた?」
「うん」
「あの人、ベロンベロンに酔っ払ってるよ」
エルギは教える相手を間違えたと頭を抱える。全員を安全な場所に逃したが、安全すぎる場所だったと後悔する。
「あのさ、あれ…まだ残しておいてくれてる?」
「当たり前だ。一応時止め魔法はかけてある」
「ありがとう。助かるよ」
わんちゃんはある場所に向かって行く。わんちゃんの姿を見たほとんどの人がわんちゃんの後を追いかけて向かっていく。
「何かやるんですか?」
「ちょっとね」
わんちゃんや他の人たちは奥から亡くなった人たちを連れてくる。その人たちを静かに並べて行く。ボロボロの人、腕が無くなっている人。それぞれ連れて来られるとゼルネアスの体が運ばれて来る。
「一応これだけだ」
「始めよう」
「何を、するんですか?」
「死者蘇生をさせる。世界の王の力さ」
「エル!少し手伝ってもらえないか?」
「私ですか⁈いいですけど…」
エルピオンはわんちゃんの元に小走りで向かうとわんちゃんと手を握る。わんちゃんから流れる光の力に身を任せる。シルク布で触れられるような優しい感覚に静かに目を閉じる。もう一度目を開けると地面が鏡のように水が敷き詰められている場所にくる。
「ここは…⁈私さっきまで」
「ーここは生と死の狭間。神の聖地とも呼べる場所ー」
雫が滴るように一滴、一滴落ちるような足音をさせながら一人の女とも言えそうな青年が目の前に映る。
「あなたは…」
「ー僕は先代世界の王。名前は無いよ。僕はこの世界に生まれる前にこの大樹の神の申し子として死んでしまったからー」
「そうなんですね。でもどうして私はここに…確かわんちゃんさんの光の力で」
「ーあれはわんちゃんじゃない。彼の皮を被った偽物だー」
「えっ!!!!いやそうだとしても、リュウドラの皆さん気がつくでしょ⁈」
「ー気づかれないようにしている。それに、世界の王の力を使うだけで君の力は必要ない。中身を追い出さないと、わんちゃんは戻れない!!!ー」
「そんなの、私にできますか?」
「もちろんできる。ボクたちも協力する」
背後に桃色の髪をした娘がいる。その後ろに短髪の灰色の髪をした人、そして顔がわんちゃんとそっくりな黒髪の青年がやってくる。
「ー闇くん、エルちゃんを頼むー」
「もちろんです。あいつが来る時、やりやすいでしょ?」
闇は笑い、エルピオンに付き添うことになる。
「でも、わんちゃんさんはどこにいるんですか⁈」
「あいつは、ここにいる」
闇は下を向くとわんちゃんが反射して写っている。
「ー彼を戻すには、君の神の力が必要。だけどあまり使ってほしくないー」
「使ってほしく無いって、どういう意味?」
ここまで読んでくださりありがとうございます!!
今年もお世話になりました。この物語が来年には終わる予定ですが、これからもよろしくお願いします
次回も楽しみに




