裏切った者
エルピオンがやって来たことにラルカは戸惑いを見せる。
「あなた…どうしてここがわかったの…?」
エルピオンはにっこり笑い、ラルカを挑発する。
「さぁ、どうしてでしょう?」
「質問を質問で返さないで!」
「相当焦っているみたいだけど、私の仲間は返してもらうよ」
エルピオンはシュンサクの拘束を解く。ハルルカたちはラルカの後ろにいるためにすぐには動けない。
「あんたの仲間は私の後ろにいる。解放なんてさせないわ!」
「あんたさ、前の私のままだと思ってない?」
エルピオンは指を鳴らすとハルルカたちとマヌスをシュンサクのところに移動させる。その行動にラルカは舌打ちをする。エルピオンの記憶が戻り、破壊の女神の力を勝ち取っているのがわかる。
「どうする?あんたのその兵士たちとあのエイリアンで私たちに勝つつもり?」
「エル⁈無茶よ!私たちだけで勝てるわけ…」
ハルルカの不安そうな表情にエルピオンは安心させる笑顔を向ける。
「大丈夫だよ。誰も、私たちだけとは言っていないから」
「えっ?」
「まさか…奴らも来ている…!!!」
ラルカは警戒をすると足元に弓矢が撃ち込まれる。どこから飛んできたわからないが、ラルカは危険を感じて兵士たちと共に姿を消す。
「逃げたね…」
エルピオンは小さく息を吐くとマヌスに寄り添う。エルピオンに目を逸らすマヌスだが、無理やり向けられて回復魔法をかける。砕けた顎は元に戻るが両腕だけは戻せない。
「後はわんちゃんさんに頼んで、まーくん」
「えーちゃ…!僕がわかるの⁈」
「うん、ごめんね…思い出せなくて」
マヌスはエルピオンの肩に顔を埋めると静かに涙を溢す。静かに流れる涙の粒は彼の苦悩が感じられる。エルピオンはマヌスの頭を撫でているとわんちゃんがやっと到着する。
「やっと着いたけど、ラルカは逃げたのかな?」
「うん、そうみたい。それとまーくんの両腕の再生お願いしてもいいですか?」
「もちろんだよ〜」
わんちゃんはエルピオンにくっついているマヌスにー癒しの治療ーを流すとみるみるうちに両腕の再生を果たす。両腕が戻ったマヌスはわんちゃんに頭を下げる。目を腫らしたその目に優しさがある。
「さてと、下はあいつらに任せるか」
下にいるエイリアンは突然の爆発によって殺されていく。わんちゃんとエルピオンの後を追いかけてリュウドラやジーナたち、ナルネスたちが倒していく。
「あの人たち、本当に強いんですね」
「リュウドラは元々強いからね。昔とか、『人を殺すしか脳が無い』とよく言われていたよ」
「そうなんですね…」
うっすらと恐怖しながらハルルカは後ろを振り向くと何かを見て顔が青ざめている。わんちゃんはその表情に違和感を覚えながら振り向くと大剣を持った一人の男が立っている。物音もしないためにハルルカは驚いたと思われる。彼の姿にアーテルスたちは攻撃態勢に入る。しかしそれを止めるようにマヌスは間に入る。
「マヌス!どけ!!」
「安心してください!彼は味方です!!!」
「お久しぶりです。エルギさん」
「久しぶりだな、わんちゃん。元気そうだな」
「あんたこそ、この島の城門を開いてくれたのって、エルギさんですよね?」
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