真実
魔王の口から意外な言葉が出てきて、エルピオンは声を荒らげる。
「どういうことよ!色んな奴らからは、魔王の仕業だって…」
ハルルカは彼らに問うが、エルピオンがそれを阻止する。
「お前たちでは無いという理由があるからそう言えるんだよね。その理由を話して貰える?」
「よかろう。だが、それは君の仲間達が来てからにしよう。立ってるのもなんだ、ヘリ。お茶を持ってきてやってくれ」
「陛下…分かりました、直ぐにお持ち致します」
執事は裏に下がる。そのタイミングでネールとウルファスが入って来る。
「ルピ!大丈夫?」
ネールはなぜだがエルピオンのことをルピと呼ぶ。彼女らは体に傷を負っているが、そこまで深くはないようだ。
◆❖◇◇❖◆
全員が揃い、席に座らせられる。丸机に五人で座る。
「お待たせしました。紅茶をお持ち致しました。熱いのでお気お付けてお飲み下さい」
紅茶を出されると、ハルルカは香りを確認する。
「どうしたの?」
「毒物が入ってないか確認してるのよ。でも匂いは紅茶。もしかして、匂いが出ないタイプ?」
顔を顰めているハルルカをよそに、エルピオンは紅茶を一口飲む。
「美味しい!これ本当に美味しい」
「エル?!もう少し用心したら?!」
「そんなに用心しなくっても、この人たちは私たちを殺すつもりは無いよ。安心しなって」
「でも…!」
もしかしたらエルピオンのことを心配してくれたのだろう。
「それじゃ、全員が揃ったことだし…ヘリ、あの事件の全てを話してくれ」
「よろしいんですか?」
「当たり前だ。あの男にも話したのだろう?」
「あの男って?」
「エルスです。我々はあの男にも話しました。しかしその様子だと、ご存知ないようですね」
「どういうこと?あの人は死んだんだよ」
「あの人は生きているはずです。私たちが送っていきましたので」
ヘリはそう話すが、彼は生きて帰ってきてない。死んだのだと、聞いている。
「おかしいですね。我々はきちんと送りしましたよ?」
「なあ、そいつって、金髪か?」
ずっと何も言わないウルファスは声を発す。
「そうよ。何?見たことあるの?」
「そいつなら、俺が一人で狩りをしている時に、一人で歩いているところを見たぞ。そんで……」
ウルファスはそのまま黙ってしまう。
「何よ。もったいぶらず話してよ」
ハルルカはウルファスに訊く。彼は気まずそうに話し始める。
「そいつなら、ある魔族に消されたんだ。まるで異次元空間に吸い込ませるように。突然の事で俺も隠れたんだ。口封じをされたんじゃないかって」
ウルファスは青ざめながら話す。とても恐ろしかったんだろう。ウルファスの体は震えている。ネールはウルファスの頭を撫でる。その二人を見ると、微笑ましく感じる。
「それでは、初めから話しましょう」
ヘリの口から全てを聞かされる。
ここまで読んでくださりありがとうございます!
次回は昔話みたいな感じになります。次回も読んでください。




