天界兵士団
わんちゃんがついてきたかった目的、それは真実の鏡をエルピオンに触れさせること。
「その鏡を、どうするつもりだ?」
「エルに触れさせるだけ。エルは誰かに記憶を改ざんされている。それを元に戻すだけだ」
わんちゃんはジームに向けて自分の思いをぶつける。今持っている思い。これからのことはよく分からないが、良い方に向けるにはこれしかない。
「分かった、ついてこい」
ジームは先導して真実の鏡がある場所まで案内してくれる。足元の明かりしかない暗さに電力がうまく行き届いていないのが分かってくる。
「ジームさん、ここは?」
「ここは天界防衛組織の第一本部があった場所。でも、あの戦場で崩壊して廃墟となっている」
「防衛…」
「だけど、生き残った職員は今でもここに残っているんだよね」
先ほど会った人たちはジームと同じこの組織の職員だったのだろう。
「そんで、俺がその組織の天界兵士団の団長しているんだ。彼らも同じ兵士団の仲間なんだよね」
すると奥の方で金属の音が落ちる音が鳴る。奥から悲鳴に似た声がする。
「何かあったみたいだ…。ちょっと行ってくる」
「ついていきます」
ジームは物音がした場所に向かって小走りで向かう。エルピオンはその後を後ろから追いかける。とある一室に入ると顔の半分を包帯で隠した男性が立とうとしてベッドから落ちたらしい。
「ジーム団長!」
「ジーム…さん」
「グラン、お前は怪我人なんだから寝ていろ…!」
「ジームさん、俺はまだ戦えます!」
「戦争は俺らの敗北だ。今は戦争のことを考えるな」
「この人は…」
『あの人はグラン。天界兵士団の副団長さん』
「俺らたちがたまたま地上に降りた時に見つけたんだ。重症のグランだけをな」
ジームはベッドにグランを寝かせるが、グランは抵抗する。
「ジームさん!俺は行かないといけないんです!!!サルトさんの援護を…!」
そのことにジームは苦しそうな表情をする。まるでサルトが死人のように。
「サルトさんたちは死んだんだ…!いい加減わかってくれ!!!!」
「あの…?サルトさん、生きていますよ?」
「「えっ???」」
ジームはわんちゃんを見ると彼も同じように首を縦に振る。グランの話によると、サルトとアスラ、アイグ、アイアの五人で逃げていたところでラルカの仲間たちに襲撃に遭い、とある森に入った瞬間、地雷を地面に埋め込まれた場所であり、グランは爆撃に巻き込まれたらしい。その後の四人の行方がわからなくなったらしい。その時にジームたちに助けられたと話してくれる。
エルピオンはあの四人とジーナ、シルバスと共に、カルデロン国で暮らしていることを話すとグランは安心したように落ち着きを取り戻す。グランのことを他の兵士たちに任せてエルピオンたちは真実の鏡に向かう。
「さて、ここが真実の鏡だよ」
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次回も楽しみに




