ジーム
その人の言葉がよく分からずエルピオンは固まってしまう。
「おっと失礼、俺はジーム。ジーム・アデルだ」
「アデル…?あなたもアデルの一族の人なんですか⁈」
「そう言うわけじゃない。ただ単に俺の嫁さんがアデルの人でね。苗字としてアデルを使ってるだけなんだ」
「そうなんですか…。あ、私はエルピオン・ガーネルスといいます。アデルの一族の者です」
ジームはエルピオンの言葉にひどく驚いている。
「きみ、アデルの人間なの⁈」
「そうですが…」
するとジームの背後から数人の人が走ってやって来る。ジームと似た衣装を身に纏っている。
「団長、やつらは追い払いました」
「どうやら撤退命令が出たみたいで」
「ですが、エルという少女を探しているみたいです」
「それならここにいる。やつらはどうやらアデルの力を持つ彼女が欲しいみたいだね」
『それだけではありません』
エデルは武器化を解いてジームに姿を見せる。ジームは嬉しそうに笑ってグータッチをする。
「久しぶりだな、元気そうでよかった」
「えぇ、しかしよく生きていましたね。ラルカは死んだと言っていましたが?」
「それはな…」
ジームは話そうとするとわんちゃんがドラゴンの姿を解き、ジームに姿を見せる。わんちゃんの目には涙が浮かんでいる。
「わんちゃん…⁈」
「父さん…!生きでだ〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!」
わんちゃんは勢いよくジームに抱きつく。抱き止めるジームだが少しだけ顔を顰める。痛みを我慢しているジームの表情にわんちゃんは鼻を動かす。腹部を触ると分厚くなっている部分がある。
「これ…」
わんちゃんは服をずらすと包帯で巻かれている部分がある。かすかに血が滲んでいるためわんちゃんは余計焦ってしまう。
「父さんっ⁈怪我してたの⁈」
「大した怪我じゃないよ。急所は外れてる」
ジームの仲間らしき彼らは変えの包帯と傷薬を持ってくる。服を脱がし、包帯を外していく。
「待って!」
わんちゃんは傷口を見るとすぐに回復魔法をかける。
「エル、あとでお前にもかける」
「あの、そのことなんですが。いつの間にか治っていまして…」
「「「えっ⁈」」」
エデルは腕に刺さった矢の跡を見ると綺麗に傷を残さずに治っている。回復の速さに意外性を持っているエルピオンの体に不思議でならない。
「どう言うことでしょうか…?」
「神の領域に近いから?」
ジームとエデルは同じような顔をするとわんちゃんはその姿を見てある予測が当てはまっていく。エルピオンを見つめているとエルピオンは不安そうな瞳でわんちゃんを見つめる。
わんちゃんはすぐに笑顔を作り大丈夫だと安心させる。今すぐにアデルの一族を召喚したいが、今はやめておくことを考える。
「父さん、聞きたいことがある」
「なんだ?」
「真実の鏡は、どこにある?」
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次回も楽しみに




