割れた鏡
城の門は崩壊して居るためにわずかにできた隙間を通り、中に入る。内装もかなり崩壊しているが、歩けないほどでは無い。
「ずいぶん壊れて居るんだな…」
「ここがルピが調べたかった場所なんだね…!」
「うん、そして確かこの先にある教会の下に、地下に続く道があるんだよね」
「エル、かなり詳しいんだな」
「うん、前に来た時に見つけたんだ。割れた鏡を」
「鏡…?」
「うん、きっとこの集めた鏡の破片がそれなんだと思う」
エルピオンは麻袋に入れた鏡を取り出す。最後の最後にこの国にくるとは思ってもいなかった。初めはアグリート国から始まり、今はこのリオン国。ここまでなると思わなかったこの冒険も終わりが来ると思うと少し寂しくなる。
エルピオンたちは小さな踏み場の階段を降りて行く。崩壊して居るところもあるが、歩けないわけでは無い。
「みんな大丈夫そう?」
「あぁ!行けるから先に行け」
シュンサクの催促にエルピオンは頷いて先に向かう。下まで降りたエルピオンたちは砕けた鏡がある部屋にやって来る。鏡は人と同じぐらいの大きさをしており、全身を写せるような気がする。
「これが鏡があった場所なんだね。なんか変な感じがする…」
「生きてるみたいだな。この鏡」
辺りが暗いが、ぼんやりと鏡から光が放たれている。すると割れた鏡同士が共鳴するように音を立て始める。エルピオンは麻袋を開けると中から鏡は一人だけで動き、合わさっていく。一枚一枚重なっていくと強い光を放ち出す。周りが明るくなると鏡から青白い腕が伸びてくる。
「えっ…?」
その腕はエルピオンを掴みと鏡の中に引き摺り込んで行く。エルピオンの方に乗っていたわんちゃんも一緒の引き摺り込まれる。
「エル様!!!!」
エデルはエルピオンの手を掴むが、共に引き摺り込まれてしまう。シュンサクはエデルに腕を伸ばすが、光の粒子となって消えて行く。虚空を触れるシュンサクは鏡を見つめる。しかしそこに映るのは自分たちでは無い何者か。危険信号を出すシュンサクだが、もう遅かった。その場にいたシュンサクたちは瞬時に黒い霧に飲み込まれ姿を消し去る。その場に残ったのは静寂と不気味な子どもの笑い声だけ。
◆❖◇◇❖◆
鏡に飲み込まれたエルピオンは長い時間を移動して居る感覚がある。長い夢を見て居るような感覚だが、エデルの声に目を覚ます。
「ここは…どこ?」
「やっと気づかれましたか…よかったです」
「ごめんね…」
「しかし、ここはどこでしょうか?少し、気分が悪いです」
『エデルは魔族だから、そうなって居るんだよ。ここは光の力がかなり出てるから』
「そうなんだ…でもわんちゃんさんと逸れなくてよかったです」
『確かにな。だけどここにずっといても何も始まらない。先を急ごう」
エルピオンたちはこの場所を探るために移動を始める。
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次回も楽しみに




