城まで
人気の無い集落を馬車で通るエルピオンたちだが、瓦礫が散乱しているため中はかなり揺れる。気分が悪くなりかけるエルピオンたちは馬車から降りて歩いて向かうことにする。
「ルカ、収納魔法かけてもらえる?」
「もちろんです!」
ハルルカは収納魔法で馬車をしまうとエデルは馬化を解いて歩き出す。瓦礫が散乱している地面を乗り越えながら先を急ぐエルピオン。しかしエルピオンより先にネールは移動して行く。
「ネーニャ…!そんなに行くな」
「だって!ここはルピの生まれ故郷なんでしょ?楽しくなるじゃん!」
ネールは初めてくる大地に興奮しながら走って行く。城壁の近くまでやってくるとアーテルスは違和感を覚える。今までの城壁は内側に飛び散っていたが、この場所は外側に飛んでいる。内側から破壊されたものだとわかる。
「エル、この場所は…?」
「テルも思う?前見に来た時、それは外側に飛んでいるの。でもどうしてなのかわからない」
エルピオンは早々と先を急ぐ。最後の城壁を通り過ぎると崩壊した民家が見える。しかし異臭とも言える吐き気を伴う臭いが立ち込める。
「なんだこの臭いは!!!」
「ルピ…!ネー鼻が曲がりそう…」
「ごめん、言い忘れてた。この先人の死体が場だ埋まったままだから腐敗臭が酷いの。今でも触られてないから臭いがそのまま残っているの」
「マジかよ!!!」
「これは…酷い臭いだ」
シュンサクは服で鼻を押さえながら嫌そうな顔をする。その瞬間一瞬にして臭いが消える。ハルルカが臭いが感じないように魔法を張ってくれたのかと思いハルルカを見るが、彼女自身も驚いて居るのがわかる。誰が張ってくれたのかわからずエルピオンの肩にいるわんちゃんを見ると鼻を押さえながら息を切らして居るためすぐにわかる。
「わんちゃん様、ありがとうございます」
『この腐敗臭だけは苦手だよ。戦争中嗅いでいたけど…やっぱり無理だ』
「わんちゃんさん、ありがとうございます」
わんちゃんは「むぅぅぅ…」と言いながら話を聞いていないためわんちゃんの喉元をこしょぐる。わんちゃんは身震いさせながらゴロゴロ言い始める。エルピオンは思わず笑ってしまう。先を急ぐエルピオンたちだが、わんちゃんが止まるように指示を出す。
「なんですか?」
『身を小さくしろ。獣が来る』
エルピオンたちは身を小さくすると目の前に大型の獣が姿を見せる。猪のような風格だが、大きさが比じゃない。人間でも食べてしまいそうな見た目にエルピオンたちは息をのむ。
「こいつは、巨大猪。森の掃除屋…。死体の臭いでやってきたのかな?」
『そうなんだろうな。通り過ぎるのを待とう』
獣が通り過ぎると崩壊をしている城までやって来る。何度見てもエルピオンはこの城が魔獣の襲撃で崩壊したとは思えない。爆撃を受けたような崩壊の仕方。今では誰も真実を言う者がいない。この目で見たことを思い出せなければならない。
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次回も楽しみに
 




