お祭り
周りが夕陽で赤く染まるとお祭りは始まる。閉じていた出店は店を開き客を迎える。
「どれも美味しい!!!!!」
どれも無料で食べられるためにエルピオンは興奮しきる。
「エル、そんなに食べたら夜ご飯食べられなくなるぞ」
「これを夜ご飯にするから大丈夫!!!」
「そう言ってもな…」
「僕たちは構わないよ。お祭りを大いに楽しんでくれたらいいからさ」
アスラは爆食をするエルピオンを笑いながら見てくれる。
「それより、アイグ兄ちゃん遅いな…なにしてるんだろう?」
二人はどうやら兄であるアイグと共に回るつもりでいるらしい。姿を見せない彼のことが少し心配らしい。すると高速でアーテルスが通り抜けていく。
「今のって…」
「テル⁈」
「くそっ!逃げられたか」
「あ、兄貴。遅かったね」
「あぁ⁈あれ、いつの間にここまで」
その後から疲れ切っているサルトがやって来る。息を切らし、火照っている顔に一瞬だけドキッとしてしまう。
「サルトさん、大丈夫ですか?」
「ちょっと…無理………」
「ごめん、大丈夫そう?」
サルトに近づくアイグだがサルトから強いグーパンチがクリティカルヒットする。倒れるアイグにアスラとアイアは苦笑いをする。
「誰のせいでこうなっていると思ってんだよおら…!テメェをぶっ飛ばさないとオレの気がすまねぇんだよ」
「ごめんなさい…」
「もっと反省しろ…!」
「はい…!」
恐怖しかない声にシュンサクたちも震え始める。関わりたくないエルピオンは早足でその場所から退散をする。
◆❖◇◇❖◆
離れたエルピオンは天灯を空に向かって飛ばしているジーナのところまで来てしまう。
「なにしているんですか?」
「あ、エルちゃん。これはね、亡くなった人たちを弔うものだよ」
「もしよろしければ、エルもやってみない?」
エルピオンは手に持っているフランクフルトを食べ終えて天灯を受け取る。初めは亡くなった家族の名前を書こうと思うが、最近に亡くなった彼の名前を書く。
「ダンゲル…君が居なかったら、私も死んでいたかもしれない」
エルピオンは火をつけてもらい、空に流す。上空を舞うランタンのような光に人の魂を思わせる。
「ダンも、ちゃんと生まれ変わることができるかな…?」
「きっとできるよ。この場所は神が住んでるから」
「そうなんですか?」
ジーナは嬉しそうに頷いてくれる。このような楽しい祭りに参加することできたことにエルピオンは嬉しさがある。エルピオンはジーナに聞きたいことがあったが、なんだったか忘れてしまう。ここで経験したことは、のちに有り難さがあるのではと思う。
ここまで読んでくださりありがとうございます!!
次回から戻るのでよろしくお願いします!そして最終章になります!
次回も楽しみに




