人狼の兄妹
エルピオン達は彼女にちゃんと説明する。もしも自分たちが助けなかったらどうなっていたかを。しかし、よく分からないらしい。
呆れていると、森林から何かが物凄い勢いでかけて来る。
「今度は何?!」
「この感じ、人?」
「えぇ?!」
エルピオンは剣を抜き、相手の攻撃を阻止する。相手は体勢を立て直すために後ろに下がる。相手の姿は人間の様だが、狼のようにも見える。
「あれは、人狼!!希少種よ!」
「えっ?」
エルピオンが目線を逸らすと、やつは攻撃をしてくる。エルピオンはなるべく傷付けないように逸らすが、自身の体に傷を負う。彼の攻撃は今まで相手にしてきた奴らより遥かに強く、何より早い。これが人狼の力なのだろうか。
彼はグルグルと喉を鳴らす。するとネールがエルピオンたちの間に割って入る。
「待って!この人たちは違うよ!ネーニャを助けてくれた優しい人たちだよ!」
ネールがそう言うと、彼は人の姿に変わる。ウルフカットの灰色の髪を持っており、髪の色と同じの瞳の好青年に姿を変える。だが、眉間にシワを寄せている。
「ネーニャ、それは本当か?」
◆❖◇◇❖◆
「それは申し訳ない。妹が連れ攫われて気が動転していたんだ。許して欲しい」
彼は目を伏せながら謝る。
「別に構わないよ。大事な人を連れ攫われたんだ。そうなってもおかしくはない」
エルピオンは首を降って言う。
「だからと言って…ところで君たちはこんな所で何してるんだ?港町に行くのか?」
「いや、魔王城に行くんだ。魔王を倒すために」
彼は驚くんじゃないかと思ったが、彼は真顔でいる。
「魔王をを倒す…ね。もし良かったら共に行ってもいいか?こいつは分からないが、俺は魔王に恨みがあるからな」
「ありがとう。心強いよ」
「そういえば名を言ってなかったな。俺はウルファス。ウルって呼んでくれ」
「よろしく頼む」
◆❖◇◇❖◆
ここからの展開は早かった。人狼の兄妹はこの辺のことをよく知っており、森林から行った方が早いそうだ。森林からあの道を見ると、中型のドラゴンが何頭かがいる。あのまま進んでいたらかなりボロボロにやられていただろう。
森林を抜けると、山を登った。そして、かなり高さのある絶壁の丸太渡りをした。ハルルカはかなり怖かったそうで、魔法を使って空中に浮きながら渡った。
そしてついに魔王城に着いた。無駄な体力をそこまで使わずにここに来れた。
「ここが魔王さんのお城?おっきいね!」
ネールは城の門の前でうろちょろする。
「こら、大人しくしろ」
「はーい」
兄妹らしい会話に、エルピオンは昔を思い出す。
「さあ、行こう!」
エルピオンは門を壊して中に侵入する。中では魔王の手下が動き出す。
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