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1人の女剣士

よろしくお願いします!

 朝日が昇り、世界に光が灯る。

 壮大な山に静けさがやどる。朝日の光によって森の木たちはキラキラ光る。先日、雨が降ったので鮮やかさが強い。

 そんな山の中を、一人の女が駆け巡る。その後ろからゾロゾロと魍魎が後を追う。奴らは《森林鬼(スルキッキ)》。

 奴らは雑食で食べれそうなものは何でも口に運ぶ厄介な鬼。そして、鬼共は群れで暮らしている。数が少なければ少ないほど弱く、数が多ければ多いほど、強い鬼がいる。彼女はその中の1番強い鬼の群れと遭遇した。だが、そんなの彼女には関係の無いこと。強ければ強い程、彼女の心に火をつける。彼女は広いところに出ると、地面を抉りながら、ブレーキを踏む。その勢いで煉獄の炎のように赤い髪がなびく。

 彼女は腰に着けた剣を抜く。刀身は美しい銀色で陽の光で

眩しいぐらいに光る。


「さぁ《森林鬼》共!どっからでもかかって来な!」


 煽るように彼女は言う。

 奴らはギャーギャー叫ぶ。もちろんの事だが、こいつらは人間のように話すことは無い。だが、人間は襲う。そして持っている物を武器として使う。今回のやつらは斧や剣を持っているよう。彼女は鼻をヒクヒク動かす。そこらの人間より、彼女の嗅覚は良い。最近になって、奴らが何人食い散らかしたかが分かるようになった。


「ざっと1匹あたり、30人は食べてるな。道理で生臭いゴミ

のような匂いがするわけだ」


  彼女はしかめっ面をする。そんなことを言っている間に、奴らは彼女に向かって切りかかる。


「ー獄炎の舞ーー火の神ー!!」


 彼女の持つ剣に赤き炎が纏う。《森林鬼》は彼女の刃に切られると、切り口が焦げたように引き裂かれて行く。

 驚いた1部の《森林鬼》は逃げ出すが、彼女は逃がさない。

 彼女は高くジャンプして《森林鬼》の行く手を阻む。

 ギャーと奇声を上げるが、気にせず彼女は斬る。こんなヤツらに同情なんて必要ない。なんの罪のない人間を食らっているのだから。

 彼女はゆっくり息を吐きながら、剣に付いた血液を振り払う。紹介が遅れたが、彼女はエルピオン・ガーネルス。剣士をやっている。数ヶ月前にエルピオンの師匠が行方をくらましてしまい、行方を探す為に旅をしている。魍魎や魔物はお金を稼ぐ為にやっている。


「あっそうだ、牙取らないと」


 エルピオンは《森林鬼》に近づき、牙を切断して行く。

 エルピオンの持つ剣はなんでも切り裂くことの出来る特殊な剣になっている。全部で10体の牙を取るのは少し疲れる。

 彼女は腰に着けてる小さな袋から懐中時計を取り出し、時間を見る。針はまだ10を指す。


「意外と早く終わったな。組合に行くか」


 彼女は小さな麻袋に牙を詰めて、山を降りる。


 ◆❖◇◇❖◆


 エルピオンは町に戻ると、早足にー魍魎共同組合組織ーに向かう。この町は他の町と比べて静かだ。おまけにガラの悪い人間は居ない。(見えてないだけかもしれないが…)

 エルピオンは組織の門を開ける。中からは男たちのゲラゲラ笑う声が響いている。ここの組織は何やら酒場の中に出来ているようで、酒の匂いが凄い。嗅覚が優れているエルピオンにはかなりきつい。

 彼女は組織の受付に向かう。


「あら、エルさん。お早いお戻りで」


 受付をしている茶髪の愛想の良い笑顔でエルピオンに話しかける。彼女は最初に来た時に受付をしていた人。


「あんた、私の事覚えていたのかい?」


「ええ、もちろんです。私、意外と記憶力がいいので」


 自慢げに言う。


「そうだ、依頼の物持ってきたよ」


「えっ、もうですか?!」


 エルピオンは小さな麻袋から《森林鬼》の牙を出す。


「で、ではお預かりします。少々お待ちください」


 彼女は《森林鬼》の牙を持って、裏に回る。エルピオンは受付前でいくらぐらいになるかを考える。予想的に、金貨2、3枚程度だろうと考える。そして、裏に行っていた彼女が帰って来ると、金貨5枚と銀貨50枚を渡す。エルピオンはギョッとする。


「こんなに貰ってもいいのか?」


「はい。貴女が捕らえた《森林鬼》はレベル21の奴らの中で

かなり強い魍魎です。多くの住民が困っていましたので、依

頼届も来ていました。貴女が倒したのはそれです。そのお礼

金を合わせてです」


 彼女は感謝の気持ちを込めて礼を言う。

 言いそびれたが、ここでは、依頼を見て受けたい物を選ん

で、受付の者に渡せば、受けさせてくれる。その時に、自分

の名前を書くか、名乗るかで依頼受付終了。すぐ依頼に行ける。とても便利だ。

 そして、彼女は後から1枚の紙を渡す。


「それと、これは隣の酒場で出せば、お酒、もしくはドリン

クが1杯無料になります。どうぞ」


「どうも」


 エルピオンは少し喉が乾いていたので、飲んでいくことに。ここにいる男連中はきっと何かを討伐してきた後なのだろう、男性の独特な臭いが漂う。

 エルピオンは無視するように、早足で酒場のマスターに話しかける。マスターは無精髭を生やし、中年の男性らしい体格

となるっている。


「マスター、すまない。りんごジュースを頼めるか?」


 マスターは先程貰った紙を見せる。マスターは気持ち悪い笑みを浮かべ、紙を受け取るとガラスで出来たコップに、青リンゴジュースを注いでいく。ここではりんごジュースは青リンゴジュースになるのであろう。後から氷をカラカラと入れていく。見ていると溢れそうになる。マスターは何も言わず、エルピオンにドリンクを渡す。彼女はお礼を言ってカウンター席に座る。ストローをさしてジュースを飲む。

ほのかに甘みがあとから追いかけてくる。りんごジュースの

この甘みがエルピオンは大好きだ。


「なぁなぁ、知ってるか?あの話」


 4人席で若い兵士のような3人の男が話している。別に気になった訳では無いが、聞く耳を持つ。


「あの話って?」


「お前知らないのかよ!あのリオン国の噂」


「知るわけないだろ?勿体ぶらずに話せよ」


「聞いて驚くなよ。まさかのリオン国を滅ぼしたのは魔王だ

 って噂だぜ…」


 エルピオンは思わず立ち上がり、椅子を倒してしまう。

 彼らは驚いて彼女を見る。彼女の生まれ故郷はリオン国なのだ。自分の故郷の話をしている彼らに驚きを覚える。

その兵士達はエルピオンを見る。彼女の目はギラギラしてお

 り、野獣のようだ。


「その話、私にも聞かせて貰えないかい?」


 エルピオンは落ち着いて話しているつもりだが、そのような感じがしないと、自分自身でわかっている。


 ◆❖◇◇❖◆


 兵士達によると、リオン国を滅ぼそうと命令を下し、魍魎や魔物を動かしたのが、魔王だと言う。見せしめにと言う理由だけで。だが、それは風の噂。それだけでもいい。エルピオンは魔王城に向かって歩みを進めた。魔王城はこの国から南へ真っ直ぐ進んで、海の上にぽつんとある黒い城らしい。

近くでローブを買い、走り出した。馬を買ってもよかったが

自分で走った方が早いと思った。

だから走る事にした。魔王よ、首を洗って待っていろ。お前の首に、復讐という名の刃を振るう。

ここまで読んで下さりありがとうございます!

ついに始まりました。次回もよろしくお願いします!

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