強者と強者
ジーナも持つ魔剣からは不気味な嫌な気配を放つ。生きている生き物と同じような気配が感じられる。
「やっぱり生きていたんだね…。あのまま死んでいたらどうしようかと考えたよ」
「僕だってそう簡単に死んだりしないよ。君を殺すまでね」
ジーナは地面を蹴り上げ、神速で移動をする。誰の目にも止まらぬ速さで。突風の如くネーシアの元で剣を重ね合わせる。酷い衝撃波にエルピオンは目を丸くするしかできない。瞬きをすることも許されないような高速で動く彼らに圧倒される。
「すごい…」
「感心している場合ではない。この様子、まずいな…」
ソラは難しそうな顔をする。
「どういうことですか?」
「あの、ネーシア…本気をまだ出していない…。もしも彼の持つ力が発動でもされたら、ジーナくんに勝ち目はない」
「勝ち目がないって…」
ソラのいうネーシアの本気が出てしまったらこの場所で勝てる人間は居ない。旋風が起こりそうな状態にエルピオンは息を呑む。あれほどに強い者に一体誰が勝てたのだろうか。
「なら、あんたは知っているのか…?」
「テルくん、あまり声を出さない方が…」
「知っているって…何のことかな?」
「ネーシアには、胸に大きな傷があります…。貫かれたような、酷い傷が……」
「それは…」
ソラはその言葉に口を閉ざす。知っていても、言わないつもりなのだろう。
「教えてください…!あいつを倒せる奴が、いるということだろ⁈」
ソラは苦し紛れにその名前を言う。
「わんちゃんくんだ。あいつは、わんちゃんを怒らせて、心臓を貫かれている」
「わんちゃんって…」
「もうこの世に居ないから、どうにもできない」
ネーシアと斬り合うジーナに微かに切り傷ができているのがわかる。ネーシアに押されている、加勢に行きたいが二人の強さに圧倒されるだけ。
「このままじゃ…ジーナさんやられちゃう…」
『フォーン…?』
フォンはエルピオンに何かを言いたそうに見つめてくる。その目線は訴えているように感じる。
「フォン、なにか私に言いたいことでもあるの?」
『キュ〜〜〜〜〜〜ン!!!!』
「もしかして、この戦略を翻す何かを持ってるの⁈」
『キュキュキュ〜〜〜〜ン!』
「その子、『エルの力を貸してほしい』と言ってるよ?」
振り向くとセイジが伝えてくれる。セイジは魔獣などの言葉がわかる。そのためハルルカたちを助けてくれたと聞いている。
「そうなんですか?」
フォンと目線を合わせると、フォンと意識が共有される。
『この方が、君と話すのは楽だね』
「話せるの⁈」
『周りには俺の声は聞こえない。だから普通に話してくれ』
「そうなんだ…。でもさ、あのままだとジーナさん死んじゃうよね…?どうすれば助けることできるの?」
『君の持つ、神の力を貸して欲しい。俺が要求するのはそれだけだ』
「神の力?私そんなもの持っていないよ⁈」
『言い方が悪かったね。アデルの力を貸して欲しい。君を見ていると神の力とアデルの力が合わさった状態でいる。その力が必要なんだ。そうすれば、俺は元に戻れる!!!』
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