表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
189/298

守りたい者

 ミリアが顔面を狙ってくるのはわかっていた。理由なんてわからない。だが、誰かの記憶の中で見たような気がする。顔を殴られれば一発K.O間違いなし。エデルとこれほどまで戦うとなれば今の自分は邪魔でしかない。早く動かなくなってほしい。と思うはず。


「こっからは、本気で行く!!!」


 エルピオンの瞳に“α”の文字が浮かび上がる。いつもと違う闘い方。それでもどうにも体が軽く感じる。だけかの記憶の中で見た、闘い方の再現だが、闘いやすくなる。


「っっっ!!!!!」


 ミリアを追い込むエルピオンの戦い方にエデルは違和感しかない。エルピオンの動きは昔共に闘ってきた仲間たちの動きと似ている。身軽な動き、無駄のない動き、殴る時の体重の掛け方。アデルの一族の人たちの動きに合ってくる。


「エル、なんか様子おかしく無い?なにか、楽しそうだよ」


「アデルの力が働いているんです。エル様の、()()()()()が」


 だが、長くは続かない。エルピオンの体に異変が訪れる。鼻が熱くなり鼻血が出てくる。口からも血液が溢れ出す。


「これ、何が起きて…!」


「エル様!!!お下がりください!!アデルの力の副作用です!!そのまま力を使い続けると、死んでしまいます!!!!」


「嘘でしょ⁈エル死んじゃうの⁈」


「やっぱり一時的かよ!この、クソ女が!!」


 エルピオンの腹に一発入ると吹き飛ばされ木々に衝突する。目からも血が溢れ出し、視界が悪くなる。身体を圧迫された衝撃でうまく動けない。

 エルピオンから離れたミリアはエデルと剣を合わせる。今何もできないダンゲルは悔しさでいっぱいになる。少しでも力があれば、エルピオンとエデルの手助けになるはず。ダンゲルはフォンを見つめる。


「ねぇフォン…もう一回あの光できない?」


『フォ〜ン?』


 フォンは頷くとダンゲルはあることをするとフォンに伝える。しかしそれは一か八かの大勝負。自分に命に関わること。フォンの声が脳内に聞こえてくる。


『ダン、本当にいいの?君という存在は消えてしまう』


「いいんだ。エルと出会って、君と出会って、僕という存在はやっと役に立つんだ。父親にも、母親にも必要とされなかった僕が、やっと役に立つんだ。今まで生きてみて、すごく楽しかったんだ」


『覚悟はできているんだね。でも、ごめんなさい…俺のせいで』


「君は何も悪くない。だから、後のことはよろしくね」


 ダンゲルの笑顔にフォン…わんちゃんは苦しさしかない。今の自分は光の力が使えるだけで、人の姿に戻れない。今の自分が悔しくて仕方がない。

 ダンゲルたちが目を離しているうちにエデルが断崖絶壁のところで落とされそうになっている。


「エデル、俺のものとなれ!!!」


「断る、死んでも、貴様のものとなるか!!!そうなるとしたら、貴様とこのまま死んでやる!!!」


「そんなのさせない!!」


「あぁあ?お前みたいな雑魚…引っ込んでろ」


「下がらないよ。死ぬのは、お前だ!!」


 ダンゲルはミリアに向かって突進する。しかしただ突っ込むだけでは簡単にかわされてしまう。それだというのに彼は目を瞑り走り続ける。ミリアと当たる瞬間、目の前にフォンが姿を見せ、先ほどと同じように神の光を見せる。


「このクソキツネ!!!!」


 ミリアが叫んだ瞬間、ダンゲルの強烈なタックルが当たる。その時にわかる。背後が海だということに。彼は死を覚悟して突っ込んできた。その時に全員がその光景がスローモーションのようにゆっくりになる。


「ばいばい、みんな」


「ダーーーーーーーン!!!!!!!!!!」

ここまで読んでくださりありがとうございます!!

次回も楽しみに

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ