兄弟の悪魔
激しく暴れるリュウタに遠く離れたサタンは呆れながら見つめる。
「あいつ…血に飢えてるのかよ…」
サタンとリュウタは同じ血を分けた兄弟。リュウタが弟でサタンは兄。サタンの前の魔王…および父親は人間であり母親は魔族のため二人は混合の悪魔として産まれた。そのためどちらかは人間味が強い子供として産まれる。それがサタンである。大臣からしたら不必要な存在。誰もが必要無いというがリュウタはそれを拒み続け最終的に生きることを許されている。
しかし周りからのいじめに近い行動は多く受けている。勉強もうまくできず毎日鞭打ちの刑。背中には酷い痕ができている。それでも生きることができたのはリュウタの存在があるため。サタンは誰だろうと優しく振る舞い、王子らしかぬ対応をするため国民からの支援は大きくなっている。
しかし国の定例会議ではサタンを魔王にするのを反対する意見が飛び交っている。
『陛下!!サタンに魔王は務まりません!!悪魔の血を持ったリュウタ様が相応しいです』
『そうです!!人間に務まるわけ!』
『なら、俺のことはどうなる?お前らは俺にもそう言えるのか??』
周りは目線は彼を外す。この話し方は反逆罪として濃厚になる。
『俺は、サタンに任せる気でいる。あいつは国民から支援が熱いからな』
だからと言って周りがそれだけでは終わらない。どうやってでもサタンを殺すべきだと。食事に毒を守ることを考えるが、毒見役もいる。それは難しいと考え、ある策を練ることになった。各地方で疫病をかけること。その策は簡単に蔓延した。生贄を差し出すことが出来れば収まるかもしれないとでっちあげる。
『陛下、これはきっと予兆です!サタンを魔王にするともっと広がる可能性があります!!』
家臣たちは魔王にせがむ。彼は決断をしなければならない。国民を取るか、一人の息子を諦めるかを。話を聞いたサタンは一人部屋に篭り毒の付いたナイフを取り出す。
『ー俺が死ねば、みんな助かる…。俺が…俺が産まれなければ…!ー』
『リュウタなら、どうするかな?』
『たった一人の兄を見捨てない』
自分の心臓めがけて突き刺そうとするサタンにリュウタの手が刃を掴み止める。しかしそれは毒が付着している。リュウタは毒に侵され苦しみながら倒れる。どうすれば良いのかと考える。しかし自身もパニックになっているため考えがまとまらない。
その時に自分の中から強い力が感じられる。これが悪魔の力だとは思えず、その力をリュウタに送り込む。その力を吸収したリュウタの体内にある毒が自然と排出される。リュウタが目を覚ますと魔族の力がサタンにあることに気づきすぐさま父親に伝えに行った。そして彼らの悪行は公表され、全員解雇。次期魔王はサタンに決まった。
「今頃になって昔を思い出すなんて…俺も落ち着いているのかね〜」
背後からやってくるオリミアの仲間にサタンはため息しか出ない。背中にある大剣を手を添える。その大剣からは忌々しい憎悪を放つ大剣。サタンの持つその大剣は大罪の器、憤怒の大罪であるサタンはその怒りを彼らに向ける。リュウタもその力を持っている。その力を渡しているためでもある。
「さっさと倒して、昔の国にしましょうかね?」
ここまで読んでくださりありがとうございます!!
今回は少しだけ彼らの過去を出しました。サタンとリュウタの父親はいつか少しだけ登場させます
次回も楽しみに




