裏切りのネーシア
アーテルスは刃を地面に叩きつける。その瞬間に地割れを起こす。
「大地の轟き!!!!」
「なになに?怒りに任せてるの〜〜〜?」
軽々しく避ける彼は下級魔法のファイヤーボールを放つ。なんの変哲のない魔法だがアーテルスはひどく驚きを見せる。
「どう言うことだ…!お前は魔法が使えないはずだろ!」
「そう、僕は本当は使えない。だけどマヌス様が魔力を与えてくださった。あの人はまさに僕の前に現れた神様のようだった。だから逆賊のあんたには消えてもらう」
笑っていた彼だが、背後からヘルガが襲い掛かる。持っている短剣で首を狙う。しかし刃は彼の残像を切る。
「どこ狙ってるの?」
腹を蹴り飛ばされるヘルガは木に体を打つける。口からは胃液を吐き出す。ヘルガに歩み寄る少年にエルピオンは刃を振る。
「君には関係ない。“離れて”!!」
彼は言葉を発するとエルピオンの身体は遠くに飛ばさせる。地面を転がるエルピオンは困惑する。彼の言葉通りに離れてしまったことに。
「今、何が起きて」
「その様子、わかっていないみたいだね」
少年はエルピオンの目の前に移動する。彼の殴りにエルピオンは体を曲げてうまく避ける。
「へぇ〜避けるの上手いじゃん」
少年の殺気がうまく読み取れない。それより彼の動きが速すぎる。避けるのに精一杯になる。
「ついでに教えてあげる。僕はネーシア。君たちは地獄に送る執行人だよ」
「そいつの能力に気をつけろ!そいつは…!!!」
「”黙れ“」
「…!!!!」
アーテルスは何かを言おうとするが話せなくなる。声を出そうとしているが言葉になっていない。
「それを言ったら意味ないじゃん。戦闘にも楽しみを持たないと」
にっこり笑うネーシアだが彼の反応はどこかゲームをしているように感じる。あの時あった双子の魔族とは何か違う威圧感。しかし負ける訳にはいかない。
「磁石の毒!!!」
ネーシアはハルルカの魔法を簡単に打ち消す。しかし打ち消した魔法がネーシアの頬に掛かる。それはネーシアの頬を溶かし始める。
「おや?これは毒があるんだね」
「私はたくさんの魔法を知っています!あなたになんか負けない!!」
「そうなると僕とは相性最悪…とでも言いたいの?」
ネーシアはハルルカの背後に人を生み出し彼女を遠くに放り投げる。
「きゃー!!」
「ルカ!!」
「他も邪魔だから別のところに行って!!」
ネールとウルファスにも大群の獣の群れが襲い掛かる。二人は距離を取るために別の場所に移動していく。サンダスとヘルズにも人型の魔物が襲いかかり二人は移動して行く。残ったエルピオンとダンゲル、アーテルス、ヘルガは取り残される。
「あと二人ぐらいどこかに行ってもらおうか」
ネーシアは魔法を使い魔物を生み出す。
「ちょっとまずいかな…」
「エル、お前はあの雑魚を倒してくれ」
「えっ⁈」
「こいつは俺たちで決着をつけたい…!」
ヘルガとアーテルスはエルピオンの前に立つ。気合が入っているような姿にエルピオンは頷く。
「いいよ、だけどその代わり…絶対に死なないで」
「任せろ」
「テルさんは絶対に死なせません」
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次回も楽しみに




