鏡を持つ者
王宮の外に出るとシュンサクたちは座り込んで待っている。
「手紙、もらえたか?」
「うん、ちゃんともらえたよ。だけどジーナさんいなかった」
「え!それでももらえるんですか?!」
「みたいだよ」
ハルルカは困惑したような表情をする。本来なら国王の許可がない限り向かうことが許されないはずだと言うのに。
「早く行こう。すぐに解決してこの鏡の謎を解決したい」
エルピオンは先導して峠に向かう。峠に近づくと一人の傭兵が立っている。エルピオンたちに気がつくと止まるように合図を出してくる。
「きみたち、これより先は行けないよ」
「私たち許可を得て来ています」
エルピオンは手紙を見せるとすぐに謝ってくる。彼は少しだけ注意をいい入ることを許してくれる。
「簡単に許してくれましたね」
「簡単すぎないか?少し不安だ」
ヘルズは警戒をしながら傭兵を見つめる。
「それだけ国王の力が強いんだよ。てか、風の動き変わった?」
峠に近づくにつれて風の動きが変わる。海からの風なのかと思うが、少し違う。海から来る風と森から来る風が行き来している。森が呼吸をしているようにも感じてくる。
「この辺はもう峠なんですね…。それとすごい断崖絶壁の場所…」
崖の下の方を強く波が打ち付けている。渦潮もあるため、あのまま落ちてしまったら体もバラバラになるだろうと思ってしまう。
「それより、あんなところに人がいるぞ。てか子供か?」
ヘルズは崖の上に座っている子供のような姿を見つける。遠すぎて性別は分からないが確かに子供のように見える。
「あんなところで何してるんだ…?」
「ちょっと待ってください。おかしくないか?普通さっきの傭兵が気がつくだろ?」
「確かに、変ですね」
その子供の姿にアーテルスは警戒心をむき出しにする。崖の上までくると少年だとわかる。しかしその少年はエルピオンたちを見つめることもしない。
「ねぇ、君こんなところで何してるの?」
エルピオンが話しかけると少年は振り向かずに答えてくれる。
「待っているんだよ。この場所で」
「誰かを待ってるの?でもこの場所は危険だって言われてない?」
「言われないよ。だって…」
少年は立ち上がるとエルピオンを見つめる。その瞬間アーテルスは弾かれたようにエルピオンを引っ張る。片手に持った剣を使って少年を斬り込む。しかし少年にはあっさり避けられる。
「避けられちゃった。それより早かったですね、逆賊のアーテルス!!!」
煽るような口ぶりにアーテルスは怒りを見せる。今まで見たことのない怒り狂ったような目つき。その瞳で人を殺せそうな威圧感。
「ネーシア!!!!!!!!!!!!!!」
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次回も楽しみに




