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楽しい夜

 アーテルスから出た発言をよく考えてみる。彼と会ったのは10年前、体が大きいため成人していると思っていた。


「あのさ、今お前っていくつだ…」


「俺は20になったばかりだ」


「そう考えると…お前が魔王になったのは……」


「8歳だ。お前と出会ったのもその歳だ」


「嘘つけ!絶対10は超えていただろ!」


「あれは、見た目を大きくしておいたら、大人として見てくれると思い、その姿になっていただけだ」


「マジかよ…」


 シュンサクは彼の年齢を知りもせずにいたことに申し訳なく思う。


「そうだとしたら、その酒は君には強いだろ?こちらの酒はどうかな?」


 渡される酒を口に運ぶと水のようにサラサラしている。


「あ、飲みやすい」


「そうだろ?」


 アスラは月に向けて乾杯をするように腕を上げる。その仕草に誰かを思って飲んでいるように感じる。庭を見ると草木に隠れて墓跡のようなものが立っているのに気がつく。


「アスラさん、あの墓跡は…?」


「え?あれ?あれは戦場を生きねけ無かった者たちのために建てたものだよ。いくらなんでも全員分作ろうと思うと足りないからあれ一つだけにしたんだよね」


「そうなんですか…あとあの奥の水たまりのようなやつ…」


 少しだけ濁っているような水。その周りだけを綺麗に着飾った物に違和感しかない。


「あれはとある伝説を求めて作ったんだよね。神様が近くにいればいるほど、あの水は綺麗になるって伝説」


「今まで綺麗になったことはありますか?」


「残念ながらそれはない。今日は月が綺麗だから、光の力を求めて姿を見せてくれると思ったけど、無理だね」


「そうでも無いかもな」


 アイグは酒を飲みながら水を見つめる。よく見てみると泥水だった水が飲めそうなほど綺麗な水になっている。


「なんで、さっきまで汚かったのに…!」


「あと、聞いた話ですが…その伝説はもう一つ話があるんです。それが、階級によって綺麗になる違いがあるそうです。水が綺麗なほど、神の力が強いらしいです」


「え…」


 水を見つめていると時空が歪み始める。水の上に一人の人影が浮かび上がる。それはシュンサクがあったあの神様そっくり。ゆっくり息を吐く彼は面布の隙間から瞳が見える。その姿にシュンサクは声を出す。


「あんた…。もうここまで来たんだな」


「君は…あの時酒をご馳走してくれたシュンだったね」


「シュンさん、知り合いなの?」


「マルジリック国で出会った神様だよ」


「わんちゃんくん…目を覚ましたんだね…!!!」


 面布を剥がす彼は顔を見せてくる。優しい瞳に心を奪われそうになる。どこかジーナに似ているような気がする。


「お久しぶりです、アスラさん、サルトさん、アイグさん、アイアさん。それと、ただいま」

ここまで読んでくださりありがとうございます!!

次回も楽しみに

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