美しい場所
体、頭を洗いもう一度温泉に浸かる。その時にエルピオンは不意に思い出す。この国にある都市伝説や噂のこと。
「あの、サルトさん。この国に噂とかありますか?」
「噂?」
「都市伝説でも良いのです。何かありませんか?」
「なにかって…あ、あるとすれば、峠だね」
「峠?」
「うん、その場所すごい景色がいいの。だから昔は結構観光スポットとしてあったけど、その場所に行くとみんな身を投げるんだよね」
「それって…自殺ということですよね?」
「そうなんだよね。だけど昔に調査に出た戦士ですらみんな死んでしまった。なんとか生きて帰ってきた戦士は、『悪霊がいる』と息絶えた」
「悪霊…」
「だから今はあの場所に近づくものは呪われると言われて、近づくのを禁じてるのよね」
その話にエルピオンはその場所に行くべきだと感じる。この国の人には優しくしてくれている人たちがいる。いろんな国でもいたが、この国の人たちはエデルの大切な人がいる。そんな人たちがいる国に悪さをする何者かを倒すべきである。
「その場所に行くには、どうしたらいいですか?」
「え?そうだね、普通に言ったらジーナに言うべきだね。その場所には国王の手紙を持っていかないと入ることを許していないからね」
「そういうことは…ジーナさんのところに行かないといけないですね」
深く考えているエルピオンにサルトは笑って答える。
「そんなに深く考えなくていいよ。どうせすぐに許可くれるから」
「そうでしょうか?」
エルピオンは自信が無さそうに答える。温泉から上がるとシュンサクの卑猥な声が聞こえてくる。男性の声とは思えないほどの美声にエルピオンの表情が歪む。
「どこからしてるの…?」
「この声って…シュンさん…だよね?」
「だと思う」
「それならこっちだよ」
サルトが連れていく場所はマッサージ屋のようで、その場所でマッサージをされているシュンサクが居る。肩のマッサージをされているアーテルスは痛みを我慢をしているように見える。
「何してるの…」
「んんっ?ただマッサージしてもらっているだけだよ。温泉でほぐれた筋肉を緩くしてもらってるだけ。エルもやってもらえよ、旅館に入館している人は無料らしいぞ」
「この旅館では腕利きのマッサージ師を入れているから、お客さんにも好評なんだよね」
自慢そうにいうサルトにエルピオンは動揺してしまう。マッサージ師の誘導でやってもらうことにする。
◆❖◇◇❖◆
シュンサクの誘いに乗ったエルピオンだったが、想像を超える痛みがある。
「いっっっっっったたたたたたたた!!!!」
「かなり凝っていますね。やりがいがあります」
「そんなこと言わない…いっっっっっっっっ!!!!!!!!でででででででで!!!!!!!」
「ルピの声すごい…」
「ネーニャちゃんもやってもらう?」
「やめとく…」
「そっか、残念」
「サルトさんは、このあとどうするんですか?仕事ですか?」
「今兄弟でお話中だから、お邪魔だと思ってお風呂に入りに来たんだよね」
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