アデルの一族の生き残り
考えれば考えるほど、身体に痛みが走る。左腕からトンカチで殴られるような酷い痛み。声を出したくても出せないほどの痛み。助けを呼びたくても呼べない。
「苦しそうだな。助けようか?」
声が聞こえ、窓を見ると灰色の髪をした青年が空から降りてくる。まるで上空を飛んでいたかのように物音もせずに立っている。
「助けるって…どう言う意味だ」
「そんなに攻撃的にならないで。大丈夫、必ず助けるから」
彼はエルピオンに触れると彼の腕まで黒くなる。黒い傷のようなものが顔にできると笑顔を向けてくる。彼の笑顔が不安を取り除いてくる。
「なるほどね〜闇の力が暴走しているみたいだね。まずは調和させないと」
彼はエルピオンの体内に光の力を加える。優しいふわふわとするような感じに、次第に落ち着いてくる。優しい治療のような感じに身体の痛みが引いて行く。
「これでいいよ。まだ闇の力に使い慣れてない。というか体がまだできてないのに使っているから、身体の中で暴れているみたいだよ。まだ完全に治癒した訳じゃないから、また暴走する可能性あるからね」
「ありがとう…ございます」
「いいよ。それより、少し失礼」
体を触れてくる灰色髪の青年の手にエルピオンは驚いて驚きの顔をしてしまう。体を触られて、見返りとして抱かせて欲しいのかと思ってしまう。
「ちょ…!やめ…!!!!」
「やっぱり女の子だね。他にも傷はないよね?」
押し倒されたような形になっているせいでか心臓の鼓動がうるさい。エルスとは何か違う。彼には何かが違う。すると戸が開きエデルが覗き込んでくる。その顔は嫌味ったらしく感じる。
「あなたと言う人は…!」
「エデルさん!誤解です!!!!」
◆❖◇◇❖◆
「それで、女の体を見知らぬあなたが触れてもいい人ではないんですよ。わかってる???」
正座をさせられて反省をしている彼をエデルは酷い睨みつけで説教をしている。見たことないエデルの怖さにエルピオンたちは体を震わせている。
「なんかあったの〜?」
部屋を覗きにきたアスラは彼を見て驚いた表情をしている。
「いえ、ただ発情期のネズミが入ってきただけなので」
「発情期って…。ただのジーナくんじゃん」
「エル様の体を触っていました」
「それ…わんちゃんくんと似てるね〜。てかそう言うことじゃないや」
アスラはエデルとジーナを引き剥がす。
「一応この国の王様だから手荒なことはしないであげて」
「王様?」
「パレード見てない?今日久しぶりに帰ってきたからさ」
「見たような気がする」
エルピオンはうろ覚えで覚えている。確か漆黒の馬に乗っていたような気がする。
「ところで、こんな説教していないで自己紹介ぐらいさせたら?」
ジーナはエデルを見つめる。エデルはため息をつき、自己紹介を許す。ジーナは嬉しそうな顔をすると優しく微笑む。
「それでは自己紹介させてもらいます。僕はジーナ…ジーナ・アデルです。この国の王でもあり、アデルの一族の生き残りです!」
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