祝福の塔
彼らについて行くとアルテン旅館に到着する。
「この旅館…」
「ここが私たちが働いている場所よ。そういえばアスラさんに呼ばれていたけど、なんだったけ?」
二人がこの店の職員だと思うとエデルの知り合いなのだと思う。中に入るとシュンサクたちと目が合う。自分が最後だと思うとなんだか申し訳ない。
「おかえりエル、お前が最後だぞ」
「ただいま…」
「えっ⁈お客さんだったの⁈ごめんなさい荷物持たせちゃって」
「私がやりたかったのでいいんです」
「ところでアスラどこだ?」
「おかえり〜買い出しご苦労様」
「アスラ、お前が合わせたい人は誰だ?」
「いいから着いてきて」
サルトたちはアスラについていく。その後ろをエルピオンたちもついて行く。部屋に戻るとぐったりしているハルルカたちと目が合う。どこを歩いてきたのかわからない。
「あ、エルおかえり〜…」
「どうしたの」
「たくさん遊べるところがあって。遊びすぎで疲れているだけ」
「そうなんだ…」
「ネーも結構疲れた〜。戦う時よりも疲れてる」
「テルたちも?」
「俺らは商店街を歩いていただけ。だけどこの街は他の違いすぎて意外と楽しかったよ」
「そうなんだ」
「エル…。お前は大丈夫か?あの話をしたから」
ウルファスは辛そうな顔をしながら聞いてくる。エルピオンはどう答えるのが正しいのかわからず、苦笑いのような笑顔を見せて大丈夫だと見せる。
「そんで?俺らに会わせたいのは…誰?」
「こちらですよ。サルトさん、アイグさん」
廊下を歩いてくるエデルにサルトは喜び抱きつく。
「エデル!おかえり。元気そうだな」
「お前が戻ってきてくれてよかったよ。おかえりというより、おはようかな?」
「どちらでもいいですよ。それと、アデルの一族の血筋を持つエルピオン様です」
「ん?そうなの?」
「はい。言ってもいいのかと思い話せませんでした」
「そうだったんだね。エデルを復活させてくれてありがとう。今日はゆっくりしていて。それと夕食までまだ時間あるからお風呂でも行ってきたら?少し多いかもしれないけど」
「あとででいいです」
「少し筋肉痛で体のあちこちが痛いので」
全員疲れているのか動こうともしない。エルピオンも少し休もうと部屋の中に入り床に座る。サルトとアイグは名乗り忘れて慌てて名前を言う。だいぶ疲れたのかエルピオンはそのまま眠ってしまう。
◆❖◇◇❖◆
眠ってしまったエルピオンは目を覚ますと古い小塔の前に居る。緑の蔓に生い茂られた看板には何かが書いてあるがわからない。
「ここが、願いを叶える塔だね」
誰かが来るため、エルピオン慌ててしまうがそのものたちはエルピオンのことが見えていないように感じる。
「この人たちは…?」
見かけない姿の人たちに、エルピオンは動揺する。
「この塔なら、どうにかできるかもな」
見かけない人だと思ったが、一人の男だけ見覚えがある。ナルネスの息子の姿。その時になんとなくだがわかる。この場所は、ラルカが話した祝福の塔だと。しかし理由がわからない。なぜこの場所にいるのかが。
「行こう!きっとあるはずだ!」
リーダーのような人は先陣を切って中に入っていく。しかし結果を知っているエルピオンは悲しくなる。この人たちはあのリーダーを騙して死んでしまうのだから。エルピオンもその後に続いて中に入っていく。中に入るとナルネスの息子、ライガがリーダーの人を騙して中に入って行く。閉ざされた扉を見つめてショックを受ける彼をエルピオンはただ見つめるしかできない。
「どうして、こんなことにしたんだろう…」
エルピオンは目を逸らしたくなることに辛くなる。エルピオンはライガの居る部屋に入って行く。中では死を待つ彼の姿がある。
「そこに居るのは…アデルの一族かな?」
「え⁈」
エルピオンは辺りを見渡す。今の自分の姿が彼には見えているのだろうか。
「怖がらなくていいよ。どうせみんなが入らないと死んだりしないからさ。少しだけ話をしようよ」
「はい…」
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