カルデロン国
翌朝、ベッドで眠っているエルピオンの腹の上に重いものが乗ってくる。苦しくて目を覚ますと昨日の小さなキツネが少しだけ大きくなっている。大きさからして、超小型犬から小型犬になったぐらい。
「おはよう、フォン。よく眠れた?」
『ヒューーーーーン!』
鳴き声も少しだけ変わっている様子。このキツネの成長スピードはかなり早い。
「おはようございます、エル様、フォン」
「おはよう。みんなはまだ?」
「いえ、シュンさんなら、先ほど外に出ていましたよ」
エルピオンはそれを聞いて外に出る。木刀を使い、剣術のトレーニングをしているのがわかる。太陽の光に反射してシュンサクの汗が氷の粒のように感じる。
シュンサクはエルピオンに気がつくとにっこりと笑ってくる。家族にもう一度会えたような感覚があるが、深くは考えないようにする。
朝食を食べ終え、出発をするエルピオンたちは目の前に広がる海に興奮を覚える。その先に巨大な橋が見えてくる。しかしそれは橋に見えて空中リフトのようにも見える。
「あれがカルデロン国へ向かう橋なのかな?」
「あれのことを…橋と言ってもいいのだろかね?」
脇道に馬車を停める駐車場らしき物があり、そこに駐めさせてもらう。商人は馬車ごと乗せられるゴンドラに乗り国に向かっていくのが見える。
「カルデロン国に向かうにはこのリフトに乗ってもらいます。二名様乗りなので分かれて乗って下さい。ただし、そちらの生き物は落ちないようにして下さい。乗っている最中に持ち物を落とされても、我々は責任を負えません」
リフトの管理人らしき人の説明を受けてリフトに乗っていく。かなりの長距離だが、楽しさが勝ってしまう。
「エル様、隣に乗るのは自分でよろしかったのですか?」
「うん、だって…この方が乗りながら楽しめるじゃん!」
エルピオンは楽しさがわかるような顔で答え海を見つめる。海からかなり離れているが、遊園地に来ているような楽しさがある。反対側からも帰ってくる人たちでいっぱいになっている。
◆❖◇◇❖◆
長時間乗り、リフトはカルデロン国に到着する。ワクワクしてしまうエルピオンたちにエデルは思わず笑顔になる。
「まずは宿を探さないとね。どこかにいい宿ないかな?」
「そういえば…!ダン、この国にー魍魎共同組合組織ーは無いの?あそこなら宿みたいになっているところがあるんじゃない?」
「残念だけど、この国には無いんだ。珍しいけど、この国だけ拒否されているんだ」
「そんな国あるんですね」
「それじゃ…自力で探さないといけないの〜??」
ネールは少し疲れているようで、ため息をつく。
「仕方がないよ。無いところもあるからね」
ウルファスはネールを泣き止ます。ネールからしていつまでも子供扱いされるのが気に食わないらしい。
「あの…」
エデルは拒否されるのではと思いながら声を出す。エデルは旅館のような宿屋を指差す。
「あの旅館は…どうでしょうか?」
珍しく提案してくるエデルにエルピオンは大きく頷く。
「少しだけ行ってみよう。もしかしたら空いているかもしれないから」
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次回も楽しみに




