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神聖な力

 シュンサクたちがやってくると全員驚いた表情をする。今の状況に理解が追いつかず、頭を抱えたくなる。


「一体どうなっている…。この王宮から死者の気配が漂っていたはずだと言うのに…」


「あの…」


 一人の司祭がエルピオンたちに声をかけてくる。


「なんでしょうか?」


「実を言いますと、確かに私たちはこの王宮でマニュル様に殺されました。殺されたはずでした。しかし気がつくと生きていたのです。まるで神々がお力を貸してくれたかのように」


 司祭であろうお方でもこのことに理解ができていない。


「あの、司祭様はなぜここに」


「あぁ、この場所には教会がございます。自分はこの教会の大神祭であります。もしよろしければ教会に向かいますか?」


「お願いします」


 エルピオンはその教会に興味があり、食い気味にお願いする。その教会に向かわなければならないような気がしてやまない。その場所がこれからのことに関係しているような気がする。

 教会に向かうエルピオンと大神祭は教会の入り口に向かうと誰かが覗き込んでいるのを見つける。その姿に違和感を感じてしまう。


「どうかいたしましたか?」


「あの、この教会って、誰かいるのですか?」


「いえ、いないはずですが?」


 エルピオンは小走りで向かうとその誰かはおらず息を呑む。そのまま扉を開けると一気に空気が変わる。その場所はまさに神聖な場所。国王が座るような場所も存在する。


「この場所…。なんだか落ち着く…」


「この気配…。誰かが神聖な力を使った後があります…!それもとても強い力」


 大神祭は辺りを見回す。しかしエルピオンは見知った気配が感じ取れ国王が座る椅子の後ろに回る。そこにはダンゲルが眠ったまま座り込んでいる。座禅を組んだ状態のためよく眠れるなとエルピオンは思ってしまう。しかし足の間に真っ白なキツネが眠っている。


「なんだ?このキツネ」


 エルピオンが突っつくと愛らしい声をあげてキツネが目を覚ます。その後にダンゲルも目を覚ます。


「うゎぁぁ???あれ?エル???なんで俺こんなところで寝てるんだ?」


「え、ずっとここで寝てたの⁈」


「う〜んわかんない。でも、何かやっていたような…夢…??」


 記憶が曖昧なダンゲルに苦笑いしかできない。


「ダンって、たまにこうなるの?」


「うん、でも最近多いね。何かの病気か何かかな???」


「エルピオン様、その者はお知り合いで?」


「うん。あまり気にしないで」


 気になるのはダンゲルだけではなく、この真っ白なキツネ。彼のペットなのではと思ったが見かけたことがなく連れているところも見たことがない。それよりあの時覗いていたのは誰なのだろうかと思う。この場所にはここで寝ていたダンゲルとこのキツネのみが居た。もしかしたらこの場所で神聖な力を使った誰かなのではと思ったが、あまり考えすぎないようにしようと考える。

ここまで読んでくださりありがとうございます!!

次回も楽しみに

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