国王帰還
薬を作るナルネスは少し警戒をしながら薬を作る。
「ナルネス、どうしたそんな顔をして」
手伝いをするサタンは薬品をとりながら聞いてくる。ナルネスは優しく声をかける。
「なんでもないわ」
「そんなわけないだろ。ルカが心配か?」
「そうじゃないの…いや、そうかもしれない。あの子が帰ってきた時黒い影が居たような気がしたんだよね」
「魔物か?」
「わからない。でもそれに似た類だと思う」
先ほどからその気配に気を取られている。ハルルカについてきたと言うと、彼女に危険が迫っていると感じる。このまま野放しはできない。
「サタン、お願いそれを討伐して」
ナルネスはサタンにお願いをするとどこかで鈴の音が聞こえる。その音に聞き覚えのある二人はお互いの顔を見合わせる。すると二階からガラスが割れる音が聞こえる。この屋敷に漂っていた不気味な雰囲気が消え去り、安堵の息を吐く。
「サタン、今の音」
「あいつの…鈴の音。なんでここで」
しかしその者の気配がないためなんともいえないが、その者がこの場所にいるとしたらどんなに幸福なのだろう。
「でも、今はそのことを考えても無駄ね。帰ってきているのなら、顔ぐらい見せてくれるものね」
薬が出来上がり、ナルネスは小瓶に入れてサタンに渡す。
「悪いけど、この薬を渡してきてくれるかしら」
「…。了解」
小瓶を受け取るとサタンはエルピオンが眠っている部屋に運ぶ。その後にセイジとヘルズ、サンデスが戻ってくる。
「サタン様、戻りました」
「お疲れ、そんで国王様も」
「ただいま、ナルネスは中かい?」
「えぇ、顔ぐらい見せてください」
サタンは急いで薬をエルピオンに届ける。
◆❖◇◇❖◆
部屋に向かうと発疹が出ているエルピオンが居る。その横にシュンサクが心配そうにみている。その姿は我が子を心配する父親さながら。サタンが薬を持ってエルピオンの前に出るとシュンサクは立ち上がる。
「座ってな。あんたろくに寝てないだろ?」
「すまない。こうなると頭が働かなくてな」
「まぁ、そうだろうな。ところで、他メンバーは?」
「じっとしていられいらしく、外に居る。テルはソラさんと話しているよ」
「そうか、同じ魔王として聞きたいことがあるんだろうな」
「そう言うあんたも魔王だろ?ところで、知っているかどうかわからないが…エルが管理してくれているが、鏡のことなんだが」
「竜語で書かれているあの鏡のことか?」
「そうだ。その鏡を天空人が使っている言葉と聞いている。そのことについて何か知らないか?」
「天空人ね…。奴らのことは昔、本で読んだりしたが、詳しくは知らない。だけどあの鏡には注意しろ。この鏡は…呪いの魔法陣が組まれている」
「呪い⁈」
「全文は読めないが、ある程度の言葉はわかる。天空人になれるやつを連れ込むと書いてあるから、注意しろ」
ここまで読んでくださりありがとうございます!!
次回も楽しみに




