恨まれた理由
国王は優しい口ぶりで話を始める。
「君たちの村に、大量の木材と岩が落ちてきたと聞いている。その影響でたくさんの死者を我々が出してしまった」
「人間たちが、俺たちを追い出そうとしてきたんだろ!!!」
「違うのだ。実を言うとたくさんの瓦礫が落ちてきた場所の遥か上空に小さな小屋があったことを覚えているだろうか?」
「あぁ、あの物置として材木を置いてあった小屋のことですね。そういえばありませんね」
「実を言うとその小屋に河豚蜂と言う猛毒を持っている奴らが、小屋に巣を作ってしまったのだ。彼らは巣を作るために木々を腐られてしまう」
「まさか!その影響で小屋の土台である柱が崩れてそのまま倒れてしまったのですか⁈」
「そうじゃ、そのことがわかったのは君たちが我らを襲うようになった時である。なので説明をしたくても説明できなくなっていたのじゃ」
そのことを聞いた妖精族は自分達が早とちりをしていたと考える。
「作り話だと思われてしまうかもしれないが、どうか、信じてくれ。我らはそなたらを殺すつもりなんて少しも思ってもいない。この通りじゃ」
頭を地面につけて謝りを見せる国王と一緒にハルルカも頭を下げる。妖精族は申し訳なさそうな顔をして面を上げるように言ってくる。妖精族の代表としてニュリアは国王による。
「妖精族の代表として、こちらこそ謝ろうと思う。これからは良い友好関係で過ごそうではないか」
国王は頭を上げてニュリアと握手を交わす。その瞬間全員が拍手を送る。するとヘルズはハルルカに耳打ちをしてくる。
「ルカ、今のうちにラビリンスを届けてこい。後のことは任せろ」
「!!ありがとうございます」
ハルルカは全力で走り、エルピオンのために走り続ける。長い時間待たせてしまったが、生きているのかと考えてしまう。しかし向かってみないとわからない草むらの中を走り続ける。自宅に戻ると勢いよく裏口の扉を開ける。勢いよく扉が開かれたことにより中にいたリュウタはひどく驚いている。
「ルカちゃん⁈おかえり!!!ラビリンスはあったの??」
「はい!ここにあります」
光るラビリンスを見せると奥からナルネスが出てくる。
「ラビリンス、手に入ったようね。早速薬を作るわよ!!」
ホッとするハルルカだが、突然電池が切れたように倒れ込む。どうやら寝不足で倒れてしまったよう。
「ナルネス様…」
「寝室に寝かせてあげなさい。ルカの部屋ならわかっているでしょ?」
リュウタは頷くと寝室に運んで行く。ナルネスはハルルカからラビリンスを掴むと薬を作りに部屋に戻る。ハルルカを抱えて寝室に移動すると不審な気配を感じ取りながら移動する。
寝室に入り、ハルルカをベッドに寝かせると部屋にいる不気味な気配にため息を吐く。ハルルカと共に結界を抜けて入ってきているものが居る。
「めんどくさいものが、入っていたな」
隠し持っているナイフを手に取ると天井から物音が大きくなる。不審に思っていると優しい鈴の音が鳴り響く。聞き覚えのある鈴の音に耳を傾けていると廊下で鈴の音が止まり何かが落ちる音がする。慌てて廊下に出るとダンゲルが割れたお面を見つめている。
「ダンさん…」
「リュウタさん、ここにこんなお面ありましたっけ?」
「このお面を、どこで」
「いや、これ急に落ちてきて…」
何もわかっていない顔をするダンゲルに少し寂しそうな顔をする。止まっていた歯車がもう一度動き出したような気配が感じられる。
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