新たな妖精王
姿を見せたニュリアは囚われていた少女、アリアとやってくる。
「あのお方は…」
「間違いない、ニュリア様だ…」
「我らをお捨てになられたニュリア様?」
妖精たちはひどく慌てた様子を見せる。幼少期に自分の家族とも言える仲間を捨てたような人を新たな王として認めることはできるはずはない。
『ニュリアよ、戻ってきていたのか』
「マクシュア様、長い間留守にしてしまい申し訳ありません」
『もう少し早ければ、女王にも会えたというのに』
「自分は、女王のことを実の母親だとは思っていません。僕のことをろくに見なかったあの人を」
ニュリアは嫌そうな顔をする。
『彼女から、伝言を預かっている』
「そんなの聞く気はない!どうせ文句しかないだろう」
「彼女からは、こうだ。ずっと、お前のことを考えてやれなくて申し訳ない。ニュリアは私の自慢の息子。しかしお前を一番に考えていた。少しでも母がいなくても寂しくないように与えられるものは全て与えていた気でいた。しかし、本当に大切なことを忘れてしまっていた。それは愛情…」
その言葉を聞くニュリアは幻覚の女王の姿が浮かぶ。彼女がどのような心情で話していたのいたのかと考えてしまう。
「ーニュリアは私からの愛情不足で…いや、閉じ込めすぎてこの一族から逃げてしまったのよ。私は、忙しいと理由をつけて彼から逃げていただけ。私は、あの子の母親になれていない。だけど、一つだけわかってることがある。あの子は誰よりも優しく、強い力を持っていること、私が死んだ時、あの子こそ妖精王になれる力を持っていると信じているから。きっと、みんなのことを思ってくれる妖精王になれるからー」
そのような言葉を残したと思ってもおらず、ニュリアは奥歯を噛み締める。ニュリアは幼少期からずっと一人ぼっちだと思っていた。母親は自分を愛していない。早く死んでしまえと思っているのではと考えていた。しかし今の言葉を聞いてしまうと、後継のため仕方なく産んだのではなく、何かをしたいから産んだのだと感じる。ニュリアを一人の息子だと感じてくれている。
「母上、そんなこと考えていたなんて、思ってもいませんでしたよ…」
『ニュリアよ。お主は、妖精王になってくれるか?』
「はい!母上以上の王になって見せます!!!」
「どうやら、話は解決したらしいな」
ハルルカたちと別行動していたヘルズとサンデスは老人を連れてやって来る。
「国王陛下!!!」
「おぉ!!!ルカちゃん、戻っていたのか」
「ご無事で何よりです。ところで、一体どこに行っていたのですか??」
「申し訳ない。妖精族たちに恨まれたままにするわけではいけないと思い森に入ったが、うっかり崖から落ちてしまい、ようやく助けられたのじゃ」
「崖から落ちたんですか⁈お怪我はありませんか??」
「ああ、大丈夫じゃ。それでなんじゃが…少しだけこの老いぼれの話を聞いてもらえないだろうか?」
少しだけ嫌そうな顔をするが、全員が頷き聞く耳を持ってくれる。
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