妖精族より先に花を
勝負が開始され、早々と夜になってしまう。
「なかなか見つからないね」
草木の影に隠れていると思い、ウルベルトは草むらの中を探す。しかし花を一本も見つけることができない。
「たしかラビリンスは青色のユリのような見た目で、暗い場所で開花するの。だから夜に咲く物だとわかっているけど、どこにあるんだろ?」
「まさかだと思うが、草原に生えたりしないんじゃないのか?山上とか?」
「山頂ですか…しかしこの辺でそのような山はどこにも…」
「それなら川の近くを見てみようよ。何かヒントになるような物があるかも知れないからさ」
「そうですね。探してみましょう」
川の方へ向かうハルルカたちは緩やかに流れる川を見つける。
「あ、この花…」
ハルルカは川の底に咲いている花を見つける。
「この花は山の頂上付近しか咲かない花なのに…。どうしてこんなところに」
「なら二手に分かれて探してみよう。俺とサンデスは頂上を見てくる。ルカとベルトさんは下流を見てきてくれ」
「わかりました。あ、でしたらこの魔法道具を持っていってください。連絡用の道具です、微量の魔力を流せば繋がると思います」
「ありがとな。ありがたく使わせてもらうよ」
ヘルズと別れ、ハルルカはある魔法の本を取り出す。
「それは?」
「これはそう卒業式にもらった魔法花の図鑑です。もしかしたらこれが何かのヒントになるのではと思って」
ラビリンスと見間違える花としてラビリンスモドキがあることが書いてある。ラビリンスモドキは一種の毒物を持っており花粉を嗅いだりすれば妖精族でも皮膚が炎症を起こしたりする。その次のページにラビリンスのことが書いてある。
「なになに?ラビリンスが開花するには条件があり、大きな青い満月が見える時、そしてその満月の光が大量に摂取できる場所…。周りに余分な花や草木がないところ…」
「それを含めて考えると岩肌のところに咲くんだね」
「そうですね。でも、この川で咲いているこの花が気になります。本来ならこの花は微量の塩分がところじゃないと開花しないんです」
「この辺って、火山によってできた場所はあるの?」
「えぇ、あります。確か大量に塩分を含んでいると…!」
「わかった?」
「はい!もしかしたら火山でできた山から水が出てこの場所に流れ着いたと考えれば!」
「うん!その場所を探そう」
ハルルカは杖を取り出し杖の上に乗る。後ろにウルベルトを乗せると空に高々と上がる。空に上がると見えなかった物が見えるようになったような気がする。
「ルカちゃん!あの山!」
岩肌になっている山を見つけてそちらの方へ飛ぶ。しかしその山は水を出していない。
「この山じゃない。ラビリンスは水分がないと咲いたりしない…」
するとハルルカの魔法道具が光り出す。
「何だろう?」
ハルルカは魔法道具に魔力を送るとヘルズの姿を映し出す。
『悪い、少しだけこちらに来てくれるか?』
ヘルズたちが何かを見つけたと思いハルルカたちは急いで向かう。
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次回も楽しみに




