妖精王
少女から妖精族の住処の中に居ることを聞かされ驚いていると出入り口に居たヘルズとウルベルトが滑り落ちるやって来る。
「ごめん、油断した!」
ウルベルトは顔を上げると入口に妖精族が立っている。
「まさか、人間どもが攻め込んでくるなんて…」
「不意をつかれたな」
誤解をしている話し方に、ハルルカは声を上げる。
「待ってください!私たちはあなたたちの危険を脅かすために来た訳ではありません!!私たちは…」
「人間の言葉なんて耳に入らん!!!殺してしまえ!!」
リーダーシップを取る妖精の合図で、全員が武器を構える。
「待ってください!この者たちを私の目の前で殺すのですか?でしたら私はこの場で詩を選びます!!」
声を荒げる少女は鋭い刃で自身の首元に持ってくる。それを見て彼らは驚く。
「お待ちください!わかりました。今この場では殺しません」
「でしたらあなたたちのやっている勝負にもしも彼女らが勝つことができましたら、彼らのことは見逃しなさい」
「あなた様のお望みのままに」
彼らが引き返すのを見え、ハルルカは緊張を解く。
「ありがとうございます。助かりました」
「そんな大したことはしていません。それより申し訳ありません。何に関係のないあなたたちを参加させてしまって」
「その、勝負って何ですか?」
「妖精王を決める勝負です」
「妖精王⁈」
「はい、妖精族の王妃は妖精王が亡くなった年に執り行われます。その時に森林の長が王妃を決めます。王は王家の血を受け継ぐ者、もしくは勝負で決めます。そこで名前が上がったのが、先ほどあなた方を殺そうとした赤薔薇のサネック。そして白薔薇のアンテです。その二人のどちらかが勝負に勝つことができたら私は…王妃になります」
「そうだとして、どうしてここにいるの?王妃になるはずの人が何でここに閉じ込められているの?」
「私が、逃げ出さないようにするためです。私は結婚を約束した人がいます」
「結婚?」
「はい、それが女王の血族にして王家の血を受け継ぐーニュリアー様です」
「ニュリア…」
「なら、必ず私たちが勝ちます。そしてその人を見つけます!!!!」
「ありがとうございます…!!!」
洞穴から出て妖精族が集まっている会場に向かう。その場所には銀髪の白薔薇と呼ばれてもおかしくない青年が居る。
『妖精族のみんな!聞いてくれ。この妖精族が収めているこの森に人間の侵入者を見つけた。しかし、彼女らは我らに勝負を挑んできた!!!もしも彼らが負けたら好きなようにしてもいい!ただし、我らが負けたら見逃さなければならない!必ずしも勝たなければならない!』
妖精族はハルルカたちを睨むように見てくる。その睨みに怯みそうになるが、ハルルカは気合を入れる。
『お題は貴様ら人間に託そう!』
ハルルカに聞かれると彼女は静かに目を閉じる。お題なんて鼻からきまっている。エルピオンの姿を思い浮かべて声を出す。
「お題は…奇跡の花、ラビリンスを、明後日の明朝にここに持って来ること!」
そのお題に妖精族はどよめきを見せる。するとサネックとアンテは笑いを見せる。
「まさか、ラビリンスを出して来るなんて、思ってもいなかったよ!いいだろう。その勝負乗った!コングを鳴らせ!!!!」
大きな鐘の音がなると試合の始まりが知らされる。二人は一目散に姿を消す。ハルルカは頷くと探しに出る。この時に見つけることができれば、エルピオンを救うことができる。
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