魔女と魔族
食堂に連れられたエルピオンたちは紅茶を振る舞われる。
「さぁどうぞ。暖かいうちに」
「いただきます…」
エルピオンは少し警戒しながら紅茶を見つめる。ミルクとお砂糖を出されるが、飲む気がしない。
「あら、エルピオンちゃんはお紅茶嫌いだった?」
「そう言うわけでは…」
「安心して、毒なんて入っていないから。ほんと、アデルの一族って警戒心強いんだから」
そのことにエルピオンはひどく驚く。
「どうして、私が、アデルの一族だって…」
「だって、エデルくんが居るからよ。ゼルくんが言っていたもの、『エデルの封印はアデルの一族しか解くことができない』って」
「ゼルくん?」
「ゼルネアス・アデルのことよ。今思い出すだけでも楽しかったわ。彼らとバカやって、たくさん…毒薬飲ませたからね…!!!!」
『物騒なもん飲ませないでやれよ!!!!!!!』
エルピオンたちは思わずツッコミを入れてしまう。周りにいる魔族は頭を抱えるしか無いように感じる。
「おばあちゃん…!」
「ごめんなさいね。ところで、何か聞きたそうな顔をしているけど、何かあるの?」
「あのね、おばあちゃん。国王様がいなくなったのって本当?」
「それは本当よ。突然姿を消したの。王宮の人たちは誰かが拐ったのではと考えているけど、何も連絡がないところを見ると、誘拐では無いことが、わかるわ」
「そうなると、あなたもわからないと言うのですね」
「いいえ、全て知らないわけじゃ無いわ」
その言葉にエルピオンたちはどよめきの声が漏れる。
「おばあちゃんは何を知ってるの⁈」
「国王様が居なくなる三日ほど前、妖精族がこの国に攻撃をし始めたの。今まで妖精たちが国を攻撃することなんて、一度もなかったのに」
「まさか、それを止めるために国王は…」
「もしかしたらね。妖精族は絶滅に追いやられたのを、国王のせいにして殺すつもりなのかもしれないの」
「そうだとしたら!早く助けに行かないと!!!!」
ハルルカは慌てた様子を見せる。
「ルカ!今は行かないことを勧めるわ」
「どうして⁈国王様が大変な時なんだよ⁈」
「今森に行ったら確実に殺されるよ」
「ソラ、あまり窓から入ってこないで」
「ごめんなさい。あ!エデルくんだ〜♪」
嬉しそうにしているソラを見てエデルは目尻を赤くしている。よく思い出してみるとソラはエデルが封印される前の魔王。当時の王がまだ存在し、目の前にいることに対して悔しさと嬉しさを物語っている。
「ソラ様…ようぞご無事で…」
「僕だけじゃないよ!!父さんもいるしリュウタもいる!大悪魔も居るしシニちゃんもいるよ!!」
「はあ?」
「あの、良い加減シニちゃんって言うのやめてもらえませんでしょうか?」
別の部屋から大鎌思った女性が入ってくる。その姿を見た瞬間エデルはその人に抱きつく。
「あら」
その人は優しくエデルを摩る。体が震えているのを感じ、泣いているのがわかる。
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