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行方知らずの国王

「国王が居ないってこと⁈」


「うん、らしいよ。国王に会いたくても逢わせてくれないからね」


 屋敷の奥を覗きに行くと多くの人々が詰めかけているのがわかる。大声をあげて兵士に詰め寄っている。


「先ほどからこのような形なのですか?」


 アーテルスは訊くとダンゲルは頷いて答える。


「これだと、伝えたいことがあるのに伝えられないよ」


「せっかく登ったのに…」


「どこかの宿に泊まれないだろうか?」


「俺もそれを考えたが、どこの宿も満室だ。俺は野宿するつもりだけど…」


 そのことに、ハルルカは声を出す。


「あの、もしよろしければ…私の家に来ませんか?」


「ルカの家?行ってもいいの?」


「泊まれるところが無いのです。家族も許してくれると思います」


 ハルルカは笑顔になり、エルピオンたちを連れて自宅に向かう。大きな屋敷のその家にエルピオンたちは驚く。


「ルカって…こんな大きな屋敷で、暮らしていたんだ」


「まぁ、私のおばあちゃんがすごい人だからね」


「ルカちゃんのおばあちゃんってどんな人なの?」


「私のおばあちゃんは、あの戦争の生き残り。今ではこの国の大魔女よ」


「つまり、貴族ってこと?」


「そういうことです」


 ハルルカは家の鍵を開けると玄関を掃除する一人の青年と目が合う。


「あ、ただいま」


「お帰りなさい、ルカちゃん」


 片目を眼帯で隠した銀髪の青年はハルルカに声をかける。


「私が帰ってきていたの…知ってたでしょ?」


「えぇ、なので玄関を掃除しているふりをしておりました」


 優しく微笑みかける彼の目線はエデルが写っている。エデルは現実を受け止めることができずに固まっている。


「あ、紹介します。この屋敷に住み込みで働いてくれている…」


「リュウタ…さんですよね?」


「そうですが…どうして知っているのですか?」


「まぁ、まずはおはようと言うべきですかね?エデル君」


 微笑みかけてくる彼の表情にエルピオンは喜びと悲しさが込み上げてくる。しかしその瞬間奥の方から爆発音が聞こえて来る。


「え!何事⁈」


「また爆発させてる…」


 リュウタは頭を抱えながら爆発した場所に向かう。エルピオンたちもその後を追いかける。


 ◆❖◇◇❖◆


 向かった場所からは黄緑色の煙が出ている。


「うそ!おばあちゃん!」


 扉が勢いよく開くと中から美しい黒髪の若い女性が出てくる。


「ちょっと失敗したけど、大惨事にならなくてよかったわ」


「ナルネス様、ルカちゃん帰ってきましたよ…」


「え?ルカ?」


 咳き込みながらナルネスはハルルカを見る。それを見て彼女の目の色が変わる。


「ルカ〜〜〜!!!!お帰りなさい!!疲れたでしょ?お茶にしましょう!!」


「ちょっと待って!少し話をさせて」


 ハルルカはナルネスの腕を払い、エルピオンたちを紹介し、寝泊まりできるか訊く。


「なに、そんなこと?もちろん良いわよ。ルカの友達で旅仲間じゃない!精一杯おもてなしさせてもらうわ」


「ありがとう」


 エルピオンたちを歓迎してくれているのかわからないが、一応お言葉に甘えようと思う。

ここまで読んでくださりありがとうございます!!

次回も楽しみに

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