マルジリック国
異空間を通り抜けるとその先には大きな街が広がっている。絨毯で空を飛ぶ人、杖や箒に乗って空を飛ぶ人、曲芸を披露する人が活気よく過ごしている。
「ここが、マルジリック国なの???!!!」
エルピオンは興奮と驚きで目を輝かせる。ネールも共に景色を眺める。
「まさか、魔法によって国ごと隠されているなんてな」
シュンサクは驚きを隠せないでいる。それと同時に街の人たちもエルピオンたちを見つめてくる。きっと商人と間違えているのではと思ってしまう。
「エデルさん、あの大きな城に向かってもらえませんか?あれがこの国の城です」
『わかりました』
◆❖◇◇❖◆
大きな城のような場所の近くまでくると見た目が教会とよく似ていることに気づく。
「エデルさん、あの脇に止めてください。あの場所が馬車置き場です」
エデルはたくさんの馬車が止まっている場所にいい感じに停める。馬具を外し、エデルは人の姿になる。
「お疲れ様です。ここからは歩いて行きます」
「あ、歩くんだ」
「えぇ、この城門より中は神聖な場所だと言われています。なので馬車という贅沢な乗り物に乗ったまま入ることを許されていません。しかし今日は屋台もやっていますね。もしかしたら学生たちの卒業式かもしれませんね」
「卒業式は王宮でやるのが当たり前なのか?」
「はい、多くの魔導師はこの国の名前を背負って外に出るので、神々の加護がつくようするためです」
「なるほどな」
エルピオンは早く行きたくうずうずしている。ネールは芳しい匂いに涎が出そうになっている。
「少し屋台を見ながら行きましょう。ここのお金はどの国のお金と同じなので気にしなくて大丈夫です」
「そうと分かれば…!屋台巡りだ〜!!!!」
「ネー、屋台全制覇する〜〜!!!!!!」
「こら!ネーニャ!!悪いが俺はネーニャについて行く!」
ウルファスはネールを追いかけて行く。
「俺らはゆっくり歩いて行くぞ」
◆❖◇◇❖◆
急ぎはせずに落ち着いた様子で屋台を回るシュンサクたちは活気にあふれた人だかりに嬉しくなる。
「ところで、その短剣を少しだけ見せていただけませんでしょうか?」
「え⁈いいけど、人がいない場所でな」
ヘルズは人が少ない場所に移動し、短剣を見せてくれる。血液などが錆び付いているが、刃の切れ味は良さそうに思える。気になるのはとぐろを巻いた龍。エデルにはそれに見覚えがある。
「こちらの短剣は…世界の王の持ち物ということで間違いありませんか?」
「そうだよ?」
「まさか、見覚えがあるのか?」
「えぇ、この短剣は自分の知り合いが持っていた短剣です。しかし、なぜこれが神具に…」
「この短剣は世界を守ったと言われているんだ。実際に見たわけじゃないからわからないがそうなのではないのかと思っているよ」
疑問が晴れないエデルは短剣を見続ける。その短剣はゼルネアスの戦友ーライガーが持っていたもの。元々、ゼルネアスの息子が持っていたが、それをあげたと彼から聞いている。それが今では神具として祀られている。この世界は今ではあの物たちではなく、人間に支配せれていると間違いではない。
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次回も楽しみに




