異次元の空間
花見ができないことを知ったエルピオンたちはレストランで時間を潰す。
「まさか、花見ができないなんて…」
「こんな事ありますか…?」
「どうする?この国で寝泊まりして、次の国に移動するか?」
「そうするしかないよね…」
諦めるような言葉を交わすエルピオンたち。しかしそんな時に子供の声が聞こえてくる。
「本当だよ!桜の木の上に人が立ってたんだよ!薄桃色の髪をした女の人が!」
「嘘つくんじゃねぇーよ!今誰も入れなくなってるだろ!」
「嘘じゃないよ!本当だよ!」
その少女は店主につまみ出される。悔しそうに店を睨みつけるその姿になんだか昔の自分と重ねてしまう。
「追いかけるか?エル」
「師匠…そうだね。何か知ってるかもしれない」
エルピオンたちは会計を済ませて少女を追いかける。コソコソ隠れながらついて行くエルピオンたち。するとちらっと後ろを振り返る。慌てて物陰に隠れるエルピオンたち。すると少女は何かを呟くと虚空に手を伸ばすと時空が歪み始める。それをこじ開け、広げて入っていく。
突然のことにエルピオンたちは驚き、追いかけようとするが時空は元に戻る。
「あの子は一体…」
「異世界の人間なのか?」
「それとも未来から?!」
「今の感じを見ると…少数の人しか入れなさそうですね」
「エデルわかるの?!」
「なんとなくですが…」
エデルは地面に書き記して行く。
「今の見る限り、次元は一緒ですが魔法で家を隠しているのです。そのため合言葉が無ければ中に入ることが出来ない仕組みなんでしょう。そうなるとこれを行っている人は魔力が豊富、もしくは大地からエネルギーを貰える人だと考えられます」
「今のだけで、それだけわかるのか?!」
「エデルさん…やっぱり凄いですね…」
「しかし、入れるのは二人が限界です。三人目が入ると、一人は異空間に閉じ込められ、出られなくなると思います」
「じゃあ、誰が行くんだ?」
アーテルスは全員に聞く。ネールとウルファスは断りを入れる。ウルベルトは行かないことを見せる。アーテルスは初めから行かないと言う。ヘルガはアーテルスが行かないのならと、行かないことを見せる。ハルルカはこの街で情報収集がしたいと言い、行かないと言う。
「残ったのはエルとエデルと俺だけか…」
「私は行きたい!あの子から聞き出したい!」
「なら俺は、ルカと一緒に情報収集の手伝いをするよ。エデル…エルのことを頼んだ」
「はい、シュンさん」
「師匠、ありがとう」
「本当は行きたいが、女の子には女の子から聞いた方が警戒しなくて済むからな。聞けることは聞き出してこいよ、エル」
「もちろんだよ!師匠!」
エルピオンは笑顔を向けるとシュンサクは微笑む。エデルは虚空を見つめる。
「змнжёддпрфгღ✧✟✐❉❆✘♖」
エデルは何語なのか分からない言葉を発する。その事にエルピオンたちは困惑する。すると時空が歪み、エルピオンとエデルを誘うかのように開ける。
「ではエル様、行きましょう」
「待っててね師匠たち!いい情報貰えるように頑張るよ!」
二人は異空間の中に消える。その姿をシュンサクたちは見つめ続ける。
ここまで、読んでくださりありがとうございます!
次回もお楽しみに




