巨人族
翌朝、朝食を取りに降りてきたハルルカたちはソファーでぐったりしているエルピオンの姿を目撃する。
「エル…どうしたのですか?」
何も答えないエルピオンに不安に思うハルルカだがキッチンからエデルが出てくる。
「夜中に自分とトレーニングして疲れているんですよ」
笑顔で言うエデルだがなんだか不気味に感じる。横になりながらエルピオンはエデルのことを考える。トップスピードに乗ったエルピオンだが一度もエデルに攻撃が当たらなかった。エデルのスピードは異次元を超えている。
彼を撃つにはどのぐらいのスピードと瞬発力が大事なのだろうか。
しかしそれだけでは無い。他にも必要なものがあるはず。色々なことを考えていくうちに頭がおかしくなりそうになる。
「エルピオン様、朝ごはん出来ましたよ」
エルピオンの顔を覗き込んでくるエデルに少し驚いたが彼女は少しだけ不機嫌そうな顔をする。
「どうしましたか?」
「あのさ、私の事エルでいいよ?そんなエルピオンって長いでしょ?」
「あまり気にしていませんでした。ではこれからエル様とお呼びさせていただきます」
「そうしてくれると助かる」
エルピオンの笑顔にエデルは微笑む。エルピオンは寝転んでいた体を起こし席に着く。全員で食事を楽しむ。その後、幌馬車に乗り込みルービック国ヘ向かう。道中、休憩を挟みながら向かう一行。
エルピオンとエデルは全員が寝静まった頃に二人でトレーニングをする。エデルとトレーニングを続けて気づいたこと、エルピオンの課題ができてくる。しかし諦めることは無い。マヌスは今の自分より強くなっている。彼を倒すまで、諦めない。
◆❖◇◇❖◆
夜桜国から二週間、エルピオンたちは国境を超える。
「やっとここまで来たな」
「長いよ〜」
「国境を超えるまでここまで時間がかかるなんて…もしも歩いて行っているとしたら何ヶ月経つのでしょうか…」
『夜桜国は普通の国と比べて大きいですからね。しかし変ですね…この辺一帯、民家の家すら見えないなんて…』
「確かこの辺には巨人族が住み着いていると言われているぞ」
アーテルスの言葉にハルルカはキョドる。
「巨人族って数十メートル程の人の姿をした生物で主食が血肉!特に人間を捕食するあの生き物ですか?!」
「そうだな…だけど安心しな。この辺には巨人族は姿を見せないから」
アーテルスが笑っているとウルファスはある言葉を呟く。
「巨人族って…あれか?」
「あれって?」
アーテルスが幌馬車から覗くとこちら目掛けて巨人の群れが押し寄せてくる。
「は?まじ…?!」
『まずいですね…皆さん捕まって下さい!』
エデルは全速力で馬車を走らせる。巨人族から逃げるために全速力で。
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