新たな旅仲間
ハルルカに気づいたサンデスは嬉しそうに驚く。
「ルカちゃんだ〜!久しぶりだね!」
「お二人はこれからどこへ?」
「ルービック国だよ。少し休みがてら桜を見ようってヘルズが言うからさ」
「そんなこと、一言も言ってない!」
照れ隠しをするかのように声を荒らげるヘルズにサンデスはニヤニヤが止まらない。
「もしよろしければ乗っていきませんか?私達もそちらに向かっているので」
「いいの?!やったね!」
なんの躊躇もなく、サンデスは幌馬車に乗り込む。ヘルズは少し躊躇をしながら幌馬車に乗り込む。
「いや〜助かったよ!この頃ずっと歩いているような感じなんだよね」
「ところでだ…」
ヘルズはウルベルトの前に立ち、彼を見つめる。ウルベルトは焦りを見せる。
「お前は勝手に辞めるとは何事だー!!」
ヘルズはウルベルトの頬を摘むと横に引っ張る。
「痛い!痛いよ〜!!ヘルズ〜〜〜!!」
涙目になっているウルベルトだがヘルズは気にしない。なんだか騒がしくなったエルピオン一行は笑いが集まる一団となる。
◆❖◇◇❖◆
長い時間幌馬車で過ごすと次第に暗くなり、野宿することになる。
「ルカ、魔法のテント…持ってるよね」
「もちろんですよ」
ハルルカは持っているテントを取り出し、建てていく。
「皆さんどうぞ。ゆっくり休んでください」
ハルルカは笑顔で中に誘導をする。エルピオンたちはなんの躊躇も無しで入っていく。ウルファス、エデル、ヘルズ、サンデスは少し躊躇しながら中に入る。中に入った四人はその光景に驚きを見せる。
「なんだこれ?!」
「すごい!家みたいになってる!」
「ヘルズさんたちには説明をしていませんでしたね。これは私が魔法学校で頂いたものなんです。冒険する時に必要になるだろうと言われて」
エデルはキッチンに向かい、調理器具を見ていく。
「どうかしましたか?」
「ここにあるやつって使えるの?」
「はい、もちろんです。しかし一度も使ったことはありません。魔法は得意ですが…料理だけは…」
ハルルカは少し恥ずかしそうにモジモジする。
「では皆さんに料理を振る舞いましょう。獲物を狩ってきます」
「それなら俺たちに任せてくれ」
アーテルスは名乗りを上げて外に出て行く。それに着いていく形でヘルガは向かう。
「ああ見ると…ヘルガって本当にテルのことしたってるんだな」
「あ、師匠。そうだね。家臣ってそういう感じなのかな?」
「気になりますか?」
そっとエルピオンの背後に立つエデルにエルピオンは驚く。シュンサクを見ると彼も驚いている様子。その様子にエルピオンは異様に思う。
「突然背後に立たないでよ!」
「これは失礼いたしました。以後気をつけます」
エデルは笑顔だが、なんだか不気味に感じる。エデルが二人の前を離れた時にエルピオンはシュンサクに訊く。
「ねぇ、師匠なんでそんなに驚いていたの?気づかなかったの?」
シュンサクは周りに気づかれない声でエルピオンに話す。
「あいつ、近づく音が無かった。本当なら呼吸する音が聞こえるはずなのに…全くと言ってもいいぐらい聞こえなかった。こんなこと出来るやつ…初めて見たよ…」
「えっ?!」
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