ハルルカの過去
よろしくお願いします
子兎亭に着き扉を開けると、マスターの黒猫が出迎えてくてた。
「おう、お前いたのか。お出迎えご苦労さん」
黒猫の頭を撫でると、裏からマスターが出てくる。
「あら、エルちゃん!お帰り、遅かったわね」
「マスター、すみません。ルカは?」
「食堂で待ってるよ。あんたと一緒に食べるって聞かないか
ら」
「それはすみません」
エルピオンはマスターに謝る。
「あんまりルカちゃんのこと、ひとりにしないであげてね。
あの子、魔王軍にパーティーを殺されているから」
「えっ?今なんて?」
エルピオンは振り返ると、マスターは猫とじゃれている。
「気になるなら、食事を済ませてからここに来て。話してあ
げる」
マスターははにかみ笑いをする。
◆❖◇◇❖◆
エルピオンは食堂に向かう。食堂では、ハルルカが縮こまるように俯いていた。エルピオンに気づくと、泣きそうな顔をする。「帰ってきた…」と嬉しいのか、安心したかのように。
「ごめんねルカ。組織の人達に止められてて」
「良かった、帰ってこないのかと思った」
「安心して、私はルカの元にちゃんと戻るから」
エルピオンは目を細くして、笑顔を作る。自分を心配してくれるのは、ここにもいるのだから。
「さぁ!食べよう?これ何の肉かな?」
「火山龍の肉。私が持ってきたら調理
してくれたの」
「おおー!それはいいね。頂こうか」
エルピオンはナイフとフォークを手に取り、肉にナイフを透す。肉はすんなりと切れ、肉汁が吹き出す。それを口に運
び、肉を噛み締める。なんとも言えない味に、エルピオンは
満足そうに口を動かす。
◆❖◇◇❖◆
エルピオン達は食事を終え、宿屋の温泉に浸からせてもら
い、ハルルカは眠くなったのか、ベッドに入るなり、すぐに
眠ってしまった。エルピオンはベッドに入らずに、受付にい
るマスターの元へ向かう。エルピオンの気配に気がつくと、マスターは笑顔を向ける。
「来たのね、エルちゃん」
「ルカのことを聞かせて。ルカの仲間は魔王に殺されたの?」
「今から二年ほど前かしら?ルカちゃんはここを本拠地にし
てたの。その時に、たまたま友達に連れられて魍魎共同組合
組織に行った時にあるパーティーと出会ったの」
「そのパーティーって?」
「エルちゃんと同じリオン国出身の子だよ」
「リオン国…」
「あのパーティー結構強い奴らだったんだけどね。魔王城に
入る前に魔族たちに殺られちゃったんだよ」
「ルカは私が死んでしまうがもしれないから、怖がっている
のか?」
「そういう事ね。貴女もリオン国出身だからさ」
「リオン国出身だからと言って、そう簡単にくたばりませんよ。だって私、リオン国を滅ぼすほどの力を持った相手を倒そうとしているのですよ?そう簡単にくたばって溜まるか、て、やつですよ」
「だといいんだけどね」
マスターはタバコを取りだし、魔法を使って小さな火を出す。その火は青く輝いている。
◆❖◇◇❖◆
その日、マスターとの話をやめ、エルピオンは部屋に戻った。ハルルカが起きないように、浮き足を使って静かに部屋に入る。ハルルカは寝息を立てて、落ち着いた様子で眠っている。
「エル?帰ってきたの?」
エルピオンはハッとして、ハルルカを見る。
「ごめん、起こしちゃった?」
「ううん。最初から起きてた。良かった、どこかに行っちゃたのかと思った」
「心配かけてごめん」
「大丈夫だよ。ほら、早く寝よう?明日は早めに起きるから」
「そうだね。ゆっくりしてられないもんね」
エルピオンは髪をゆっていたゴムを外し、机に置く。そして、ベッドに入りハルルカの隣で横になる。
「おやすみなさい」
「おやすみ」
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