エルピオンの祖先
突然現れた彼を見つめ続けるエルピオンの姿にエデルもタジタジ。
「エルピオン様…そんなに見つめられては困ります…」
「あっ!ごめん…でもいくらなんでも今日から私の執事って…私そこまで階級高くないよ?」
「いえ、貴女様は我が主人の子孫でございます。自分がお仕えする義務がございます」
「それと、その話し方何とかならない?変な感じがする」
エルピオンがそう言うとエデルはくすくす笑い出す。突然笑うからエルピオンは動揺する。
「申し訳ございません。初めて主人とあった時と同じことを申し上げるので…笑ってしまいました」
「そうなんだ…」
「お前は…エルの祖先のことを知ってるのか?」
横から口を挟むシュンサクは警戒をしている様子だと捉えられる。
「えぇ、自分はエルピオン様の祖先にお仕えしていた執事です。証拠にエルピオン様がお持ちになっていた黒刀です」
「でもその黒刀…私の叔父が持っていたやつだよ!」
「ええ、そのようですね。しかし貴女様には我が主人と同じ意思をお持ちだと見受けられます」
エデルのはっきりとした言葉にエルピオンはあることを思い出す。
「同じ意思って闇の力と関係してる?」
「えぇ、エルピオン様の闇の力、それは自分に掛けられた呪いを解く鍵だったのです」
「そうだったんだ」
エルピオンはしばし悩み込む。今自分が持つこの闇の力は彼にかけられた封印を解く鍵だったのだと。叔父はそれがわかっていて自分にこの黒刀を託してくれたのだと。だがしかし、そのことについてなぜ父は知らなかったのだろう。父は闇の力がなかったと考えるとなぜエルピオンには闇の力が目覚めたのだろうか。
「エル…どうかしましたか?」
ハルルカは心配そうにエルピオンを見つめる。エルピオンは笑って大丈夫だと伝える。
「それよりあんたって…悪魔だったりするか?」
アーテルスの問に、エデルは頷いて答える。
「えぇ、そうですよ。見る限り貴方様も魔族だとお見受け致します」
「魔族って言っても、俺は魔王だけどな」
「魔王…ですか。ではお聞き致したいものがあります。先代魔王にソラという名の魔王はご存知でしょうか?」
「ソラ…確かに昔の魔王の書籍の中にその名前がある…あ!」
「テル様、どうなさいましたか?」
「そういえば…昔父に言われていたことがあった。確かソラという魔王様が最後に遺した言葉らしい」
「どのようなお言葉なんですか?!」
「えっと確か…『彼らの意志を受け継ぐ者がきっと現れる。エデルが現世に戻る鍵だ。彼ならきっと役に立つ。彼は我らの希望だから』と申し、この世を去られたという。そのエデルって…あんたの事だったりするのか?」
その言葉を聞いたエデルは唇を噛み締める。その様子にエルピオンは顔が曇るかのような反応を取る。
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